Perspective
抗体レパートリーの高処理能配列解読法の明るい見通しと課題
Nature Biotechnology 32, 2 doi: 10.1038/nbt.2782
血液またはリンパ器官のB細胞がコードする抗体のレパートリーを高処理能DNA配列解読技術で明らかにする研究は極めて進展が急速であり、体液性免疫応答に関する理解を変えつつある。免疫グロブリン遺伝子の高処理能DNA配列解読(Ig-seq)から得られる情報は、高感度のB細胞悪性度検出、研究対象の抗原に特異的な抗体の発見、ワクチン開発の手引き、および自己免疫の理解に応用することができる。実験法および情報科学解析ツールの開発の急速な進歩は、配列解読の人為的な誤りの低減、クローン多様性の定量化の精度向上、および最も的確な生物学的情報の抽出に寄与している。しかし、とりわけ臨床の場でIg-seqの応用が広がるには、異なる実験室で得られた配列解読データの共有およびメタ解析を可能にするような標準化された実験デザインの枠組みを開発する必要があると考えられる。