Perspective
微小流体を利用した臓器オンチップ
Nature Biotechnology 32, 8 doi: 10.1038/nbt.2989
臓器オンチップはマイクロチップの製造法を用いて作製される微小流体細胞培養装置であり、細胞が連続灌流チャンバー内で組織および臓器レベルの生理学的性質を再現するように配置されている。この種の装置は、多細胞構造、組織同士の接合部、物理化学的微小環境、および体内の血流を再現することにより、従来の二次元または三次元培養系では不可能であった組織および臓器レベルの機能性を実現する。また、機能性の組織および臓器に存在する生細胞の生化学的、遺伝的および代謝的活動に関して、高分解能でリアルタイムな画像化およびin vitro分析を行うことができる。この技術は、組織の発生、臓器の生理、および疾患の原因論に関する研究を進展させることが大いに期待される。医薬品の探索および開発の領域で、この技術は分子的な作用機序、リード化合物候補の優先順位決定、毒性試験、およびバイオマーカー同定の研究にとりわけ有用と考えられる。