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アンモニア合成の新たな道
肥料の原料となるアンモニアは人間社会にとって不可欠だが、その製造にはエネルギーの大量消費、二酸化炭素の大量排出、多額の初期設備投資が伴う。今回、常温常圧で進む興味深い反応が開発されたことで、エネルギー効率の高い代替アンモニア合成法が実現される可能性が示された。
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ノックアウトよりもノックダウンの方が影響が出る訳
コードされたタンパク質の短縮を引き起こす遺伝子変異(ナンセンス変異)は、関連遺伝子の発現を誘導する場合があることが分かった。この補償応答の発見は、ヒトやモデル生物の遺伝学的研究に関するこれまでの考え方を変えることになるだろう。
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マラリア原虫を蚊体内で死滅させる
殺虫剤を使った蚊の駆除はマラリアとの闘いに貢献してきたが、殺虫剤耐性が深刻化している。このほど、宿主である蚊をマラリア原虫を標的とする薬剤に曝露させる方法が考案され、モデル研究でその有効性が示唆された。
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セロトニンは核に移行してヒストンを修飾する
ヒストンタンパク質の機能は、特定の化学基の付加や除去によって修飾され得る。今回、セロトニン分子の付加という新たなヒストン修飾が見つかった。この修飾も他のヒストン修飾と同様に、遺伝子発現に影響を及ぼすようだ。
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コウモリインフルエンザウイルスの宿主細胞受容体の特定
コウモリインフルエンザウイルスが宿主細胞に感染する仕組みはこれまで分かっていなかった。今回、このウイルスが、MHCクラスIIタンパク質という広範な生物種に存在する細胞受容体に結合することが明らかになり、ヒトに対する潜在的リスクの懸念が浮かび上がった。
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ずらして重ねると輝きを放つ二次元材料
2種類の単原子層材料を重ね合わせて得られるモアレ超格子構造では、光学特性をねじれ角のみで変化させられることが4例の研究から明らかになり、こうした二次元ヘテロ構造が秘める大いなる可能性が示された。
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中性子と陽子が核内で変化する理由
中性子や陽子の構造は、原子核内にあるときには変化していることが分かっている。この現象の原因は長く分からなかったが、今回、1つの説明を支持する決定的な実験データが得られた。この結果は、原子核物理学に幅広く影響するかもしれない。
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恐怖を忘れることを学ぶ脳
EMDR(眼球運動による脱感作および再処理法)と呼ばれる治療法は、外傷後ストレス症候群の症状を軽減するが、そのメカニズムは謎に包まれている。マウスを使った研究で、このアプローチの生物学的基盤に関する有望な手掛かりが得られた。
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小さなチームの科学は破壊的で美しい
科学技術の流れを乱して革新をもたらす「破壊度」を引用数指標として用いることで、研究チームの規模と研究の影響度との間に新たな関係性が見いだされ、「大きなチーム」の科学を称賛する傾向に疑問が投げ掛けられた。
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明らかになってきた細胞の老化像
レトロトランスポゾンと呼ばれるDNA塩基配列は、自身のコピーをゲノムの別の部位に再び組み込むことができるが、これはDNA損傷につながることがある。今回、この過程を阻害することで加齢に伴う健康の衰えを防げる可能性があることが、マウスでの研究で示された。
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角を回った向こうを影で見る
障害物のために直接見通せない所(死角)を、直接見えている影の部分にある情報を分析することにより、普通のカメラで「見る」ことができることが実証された。この成果は、ロボット、自動車、医療用のセンサー技術に応用される可能性がある。
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グリーンランドの氷河下からメタンが放出されている
グリーンランド氷床下の堆積物中で生成するメタンが、夏季の融解水によって大気中に放出されていることが報告された。この結果は、氷河の融解がこの温室効果ガスの重大な全球的ソースとなっている可能性を示唆している。
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1つの抗体で全ての型のインフルエンザと闘う
さまざまなインフルエンザウイルス株(ヒトで流行を引き起こすA型・B型を含む)を認識できる改変抗体が作製された。全てのインフルエンザウイルス株に対する「普遍的な」防御の実現に近づいたのだろうか。
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父親由来のミトコンドリアがたどる運命
生物学の基本原則の1つに、「細胞内のエネルギー生成を担うミトコンドリアとそのDNAは、母親のみから受け継がれる」というものがある。しかし、時にはミトコンドリアが父親からも受け継がれることを示唆する興味深い研究が報告された。
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岩石と熱水によるアミノ酸合成
海底下深くで起こる岩石と熱水の化学反応によって、生物学的な要素なしに芳香族アミノ酸「トリプトファン」が合成されることが実証された。この過程は、地球上での生命の誕生に貢献した可能性がある。
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アドレナリンがサイトカインストームを促進する
抗腫瘍免疫応答を増強する治療では、サイトカインストームと呼ばれる有害な炎症応答が引き起こされることがある。今回、こうした有害な応答を防ぐのに役立つ可能性がある新しい知見が得られた。
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ブタからヒトへの心臓移植に向けて一歩前進
従来の異種移植の手順を改良することで、ブタの心臓を移植したヒヒを6カ月以上生存させることができた。この成果により、ブタからヒトへの異種心臓移植の道が見えてきた。
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イオン風で飛ぶ飛行機を実現
飛行機は通常、プロペラやタービンを用い、化石燃料の燃焼で動力を得る。今回、燃焼と可動部分なしに、電力とイオンの運動による風で飛ぶ飛行機が実現した。
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細菌の敵はヒトの味方ではない
黄色ブドウ球菌はヒトの難治性感染症の大きな原因となっている。この細菌は、ファージ(細菌を宿主とするウイルス)に感染すると、ファージの酵素のおかげで免疫系による検知を回避できることが明らかになった。
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ヒト妊娠初期の全体像
妊娠初期の母体と胎児の界面に存在する数万個の単一細胞のRNA塩基配列解読から、生殖を支える細胞種と調節ネットワークの驚くべき複雑性が明らかにされた。