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2022年12月号Volume 19 Number 12
求められる性差分析、実現への壁
研究資金配分機関や出版社は、性差が果たす役割を考慮して研究をデザインすることを研究者に求めるようになった。再現性と厳密性を向上させるだけでなく、1つの性を調べていただけでは発見できない解決策や疑問が見つかるという大きな利点があるものの、複数の性を正しいやり方で研究に組み込むのは簡単ではない。
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科学に携わるエキスパートに聞く:コミュニケーションの壁を越えるには
日本の研究コミュニティーの課題とその解決策を探るため、シュプリンガー・ネイチャーは、アカデミアや助成金配分機関、メディアから有識者を招いた「ジャパンリサーチアドバイザリーフォーラム(JRAF)」を2022年8月2日に開催。初回は、「リサーチコミュニケーションの向上」に絡む2つの議題からその手掛かりを探った。
Editorial
Research Highlights
リサーチハイライト
「ミツバチはどうやって精巧な巣を作るのか? 」「鳥とコウモリはチョコ好きの友 」「心臓を拍動させる細胞を照らし出す色素 」「糖分の多い食事は肥満と闘う腸内細菌を不利にする」、他。
News in Focus
卵子や精子なしに幹細胞からマウス胚
2つの研究チームが幹細胞から人工胚を作製し、器官発生を観察するのに十分な期間、それを成長させることができた。
現生人類の脳に優位性を与えた可能性のある遺伝子変異を発見
古代の絶滅ヒト族との比較から現生人類に見つかったある遺伝子変異は、古代ヒト族型遺伝子に比べてニューロンを増やす働きが強いことが分かった。
古代DNA研究の先駆者にノーベル医学・生理学賞
ゲノム解析を利用して、ネアンデルタール人などの古代ヒト族種の実体を明らかにした古遺伝学者にノーベル医学・生理学賞が贈られた。
量子もつれの実験にノーベル物理学賞
2022年のノーベル物理学賞は、もつれた光子の実験で量子情報科学の基礎を築いた3人の物理学者に贈られる。
ノーベル化学賞はクリックケミストリーと生体直交化学に
合成化学を一変させた「クリック反応」を独立に開発した 2人の化学者と、その生細胞への応用を切り開いた化学者が、2022年のノーベル化学賞を共同で受賞した。
レカネマブはアルツハイマー病新薬となるか
レカネマブの有望な試験結果を製薬企業が発表した。それを受けて、研究者たちは慎重でありながらも期待を持って成り行きを見守っている。
古代人の歯のDNAが物語るヘルペスウイルスの進化
大昔の人々や動物の歯の研究から、今日の病原体の歴史が明らかになりつつある。
米国政府も即時オープンアクセスへ
ホワイトハウスは研究資金を配分する連邦機関に対し、連邦政府から助成を受けた研究については2026年以降、出版と同時に無料で読めるようにすることを要請した。
Feature
求められる性差分析、実現への壁
実験において性差が果たす役割を考慮するよう研究者に要請する研究資金配分機関や出版社が増えている。この要請に対しては異論もあり、適切に対応するのは容易ではない。
Japanese Author
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遺伝統計学でヒトゲノムデータと医療・創薬をつなぐ
近年、大規模なヒトゲノム研究から、医療や創薬にとって有用な情報が得られ始めている。このような研究を進めるには、大量のヒトゲノムデータを解析する必要があり、それを可能にしているのが、遺伝統計学である。遺伝統計学とは何か、遺伝情報からどんなことが分かるのか? 日本の遺伝統計学を牽引する、岡田随象・東京大学大学院教授に話を聞いた。
News & Views
最初期のヒト族は二足歩行も木登りも
チャドで発見されたヒト族の脚の骨1本と腕の骨2本は、700万年ほど前、ヒトとチンパンジーの系統が分かれた頃に、初期のヒト族が二足歩行性でありながら木登りもできたことを示唆している。
既知最古の動物のベールを取り払う
刺胞動物の起源は、化石記録に空白があるため長く謎に包まれてきた。今回、待望のエディアカラ紀の刺胞動物の化石が発見され、この動物群の初期進化の重要な特徴が明らかになった。
2剤併用で全身毒性を巧妙に回避
2種類の薬剤の併用により、ラパマイシン標的タンパク質複合体1(TORC1)と呼ばれる タンパク質複合体の活性を脳でのみ阻害し、体組織では阻害しないようにすることが可能になった。これを脳腫瘍のマウスに適用すると、全身毒性を回避しながら治療することができた。
イノシン分子が体重減少を焚きつける
体内の褐色脂肪はエネルギーを熱に変換する。今回、死にゆく褐色脂肪から放出されたイノシン分子が、近傍の褐色脂肪細胞の熱産生を誘導することが報告された。これは肥満と闘う方法を示している可能性がある。
Advances
お役立ちスズメバチ
植物から呼び出されて種子散布を助けている。
Where I Work
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Doreen Anene
Doreen Aneneは、ノッティンガム大学(英国)の動物科学者、STEM Belle設立者、2019年度「Nature Research Innovating Women in Science」受賞者。
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