「樹木の島」が アブラヤシ栽培に利益をもたらす
アブラヤシ(一般にギニアアブラヤシElaeis guineensisを指す)はいろいろな製品で目にする原材料だ。ほとんど全ての産業部門で利用されており1、無数の食料品や化粧品のラベルには、パーム油の表示がある。洗剤や動物飼料、バイオ燃料の原材料にもなっており、その果実は49カ国の2000万haで収穫されている2。さらにアブラヤシは、効率的な作物である。栽培面積は全ての植物油の生産に利用されている土地の6%に満たないが、世界の植物油需要の40%を供給しているのだ(go.nature.com/3pfkbc1)。その一方で、アブラヤシの単一栽培の拡大は、大規模な森林破壊と生物多様性低下を招いている。このたび、ヌーシャテル大学(スイス)およびゲオルク・アウグスト大学ゲッティンゲン(ドイツ)のDelphine Clara Zempら3は、アブラヤシの単作地に「樹木の島」と呼ばれるものを点在させることが、アブラヤシの商用栽培において、収量に影響を与えずに生物多様性と生態系機能を回復させる現実的な方法になり得ると、Nature 2023年6月8日号の316ページに報告している。この樹木の島は、在来の樹木を小規模に植えたり天然更新させたりする、一種のアグロフォレストリーによって形成されたものだ。
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Nature ダイジェスト Vol. 20 No. 9
DOI: 10.1038/ndigest.2023.230933
参考文献
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- Descals, A. et al. Earth Syst. Sci. Data 13, 1211–1231 (2021).
- Zemp, D. C. et al. Nature 618, 316–321 (2023).
- Khasanah, N. et al. Front. Sustain. Food Syst. 3, 122 (2020).
- Jezeer, R. & Pasiecznik, N. (eds) Exploring Inclusive Palm Oil Production (Tropenbos International, 2019); available at https://go.nature.com/3jvzkam
- Schoneveld, G. C., Ekowati, D., Andrianto, A. & van der Haar, S. Environ. Res. Lett. 14, 014006 (2019).
- Miccolis, A., van Noordwijk, M. & Amaral, J. in Tree Commodities and Resilient Green Economies in Africa (eds Minang, P. A., Duguma, L. A. & van Noordwijk, M.) Ch. 27 (World Agroforestry, 2021); available at https://go.nature.com/3jfvuq9
- Gérard, A. et al. Agric. Ecosyst. Environ. 240, 253–260 (2017).
- Qaim, M., Sibhatu, K. T., Siregar, H. & Grass, I. Annu. Rev. Resour. Econ. 12, 321–344 (2020).
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