2024年2月号Volume 21 Number 2
OAを推進するコアリションSが新たな大胆計画を発表
コアリションSが提案する新しい計画では、論文の全てのバージョン、査読報告書を最初から公開すること、著者の費用負担をゼロにすること、研究成果をいつどこで最初に出版するかは、出版社ではなく著者が決められるようにすることが要請されている。
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自律的な実験デザインと自動化ラボによる効率的なスマートセル開発
微生物の力を生かして有用な物質を作る「スマートセル」。AIと先端的なバイオテクノロジーを組み合わせることで、産業応用のためのスマートセルの設計・開発を最適化するのが自律型バイオファウンドリーだ。今、バイオモノづくりとして注目されるスマートセルとバイオファウンドリーの研究を紹介する。
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肥満症に対する多面的アプローチ
新しい治療選択肢により、日本の肥満者の増加を抑えることができる可能性がある。
Editorial
Research Highlights
リサーチハイライト
「地下海から噴き出した塩で表面を固められた衛星」「ガの性比を雌に偏らせる雄殺しウイルス」「痒みと搔痒感:細菌が私たちの神経を逆なでする機序」「笑いの問題:私たちはいかにしてジョークを理解し評価するのか」、他
News in Focus
ゲノムの50%以上が合成DNAである出芽酵母株の作製に成功
高度に編集された酵母株は、全16本の染色体のうち7.5本が人工染色体にもかかわらず、生存および複製が可能である。
「塩基編集」の初の臨床試験でコレステロール値低下
超精密な遺伝子編集技術により、「悪玉」コレステロールのレベル上昇に関わる肝臓遺伝子のスイッチをオフにしたところ、臨床試験で有望な結果が得られたが、安全性への懸念もある。
「ロンダリングされた」野生サルが研究を台無しにする可能性
研究用動物の需要が増加していることにより違法な取引が横行している。しかし、違法に取引された野生のサルは研究結果を混乱させる可能性がある。
女性が学術界を去る最大の理由
米国の学術界では、職場環境の問題を理由に離職を決意する女性が多いことが分かった。
ボルバキア法でコロンビアのデング熱発生率が大幅に低下
デング熱媒介蚊にボルバキアを感染させる感染症制御法が、コロンビアの都市部で有望な成果を上げている。
2つの胚の細胞からキメラサルを作製
この成果は、キメラ霊長類を使ってヒトの病気を研究する道を開くだろう。
オープンAI社のお家騒動がAIの進歩と安全性について意味すること
ChatGPTの開発元であるオープンAI社の内紛から、「商業的な勢力が、人工知能システムの『責任ある開発』を促進しようとする世界の流れに逆らおうとしているのではないか?」という懸念が生じている。
ニューロンのWi-Fi通信:無線神経情報伝達のマップを作製
線虫を使った研究で、神経ペプチドによる長距離情報伝達を行うニューロンの密なネットワークが見つかった。
ペーパーミルによる論文捏造の規模はどのくらい?
科学文献には「ペーパーミル」製の偽論文が何十万本も紛れ込んでいるという。
Features
とっておき年間画像特集2023
NASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、2023年も最高の天体画像を撮影して私たちを驚かせてくれました。地上では写真家や研究者たちが、未知の生物種や、顕微鏡によらなければ見ることができない光景を捉えました。宇宙塵から空飛ぶヤモリまで、Nature編集部の目を釘付けにした写真を紹介します。
OAを推進するコアリションSが新たな大胆計画を発表
「プランS」によりオープンアクセス運動を加速してきた研究資金配分機関のグループが、科学出版にさらなる急進的な革命を起こそうとしている。
科学出版の費用は誰が負担するべきか?
論文掲載料(APC)はオープンアクセス出版の標準的な要素になったが、これに代わるさまざまな選択肢が生み出されつつある。
Japanese Author
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タコにもレム睡眠に似た睡眠段階があることを解明!
ヒトを含む哺乳類には、眠りが浅く、覚醒状態に似た脳波を示すレム睡眠と、眠りが深いノンレム睡眠がある。 沖縄科学技術大学院大学(OIST)の真野智之博士、清水一道博士(当時)らの研究チームは、タコを対象に行動学・電気生理学・解剖学手法、人工知能(AI)を用いた体表模様の画像解析などを用いて、タコにも2段階からなる睡眠があり、そのうちの「動的睡眠」がレム睡眠に似ていることを突き止めた。
News & Views
創薬に有望な原子置換反応の化学
医薬品関連分子の骨格中の炭素原子を窒素原子に直接置換する、非従来型の変換反応が開発された。この反応で得られる一連の誘導体は、医薬品化学の組織的研究に道を開く可能性がある。
火星の深部は軟らかい
火星内部を伝播した地震波を分析した2つの研究により、火星の中心核とマントル深部の最も明快な描像が得られ、地震波データの以前の解釈の矛盾点が解決された。
がんはニューロンの学習機構を乗っ取る
脳腫瘍の解析から、腫瘍細胞がニューロンとシナプス接続性を増強して、腫瘍プログレッションを促進する仕組みが明らかになった。
Advances
豪雪の予報
雲の内部で起こっていることを調べ詳しい予測につなげる。
Where I Work
Špela Borko
Špela Borkoは、サイエンティスツ・フォー・バルカン・リバーズの研究員兼コーディネーター。
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