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心臓発作後の深い睡眠が治癒を促す

心臓発作の後、免疫細胞が脳に動員されることで睡眠が誘発され、その結果、心臓の炎症が抑えられて回復が進むことが明らかになった。一方、睡眠が妨げられると、過剰な炎症によって心機能が低下し、治癒が遅れることが分かった。

睡眠が、身体・精神・認知の健全性にどのような影響を及ぼすかを探る研究が、この20年で急増しており、睡眠には、損傷した組織や細胞の修復、体内の炎症の軽減など、回復機能があることが明らかにされている。このほど、マウントサイナイ・アイカーン医科大学（米国ニューヨーク）のPacific Huynhと、同大学およびNYCヘルス＋ホスピタルズ/エルムハースト（米国ニューヨーク）のJan D. Hoffmannら1は、心臓発作後に単球と呼ばれる免疫細胞が脳に動員されて深い睡眠が促進されることを明らかにし、Nature 2024年11月7日号168ページで報告している。心臓発作後の深い睡眠は、心機能を改善し、心臓の炎症を抑えて、治癒を促す。

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翻訳：三谷祐貴子

Nature ダイジェスト Vol. 22 No. 2

DOI: 10.1038/ndigest.2025.250244

原文

Deep sleep helps the heart to heal
  • Nature (2024-10-30) | DOI: 10.1038/d41586-024-03394-2
  • Rachel K. Rowe
  • コロラド大学（米国ボールダー）に所属

参考文献

  1. Huynh, P. et al. Nature 635, 168–177 (2024).
  2. Opp, M. R. Sleep Med. Rev. 9, 355–364 (2005).
  3. Krueger, J. M. et al. Progr. Brain Res. 193, 39–47 (2011).
  4. Kubota, T., Li, N., Guan, Z., Brown, R. A. & Krueger, J. M. Brain Res. 932, 37–44 (2002).
  5. Sun, M. et al. Circulation 110, 3221–3228 (2004).
  6. Ridker, P. M. et al. Circulation 101, 2149–2153 (2000).
  7. Mannino, G. S. et al. Sci. Rep. 14, 23622 (2024).
  8. Murtaj, V. et al. Front. Aging Neurosci. 11, 299 (2019).
  9. Shioura, K. M., Geenen, D. L. & Goldspink, P. H. Am. J. Physiol. 295, R528–R534 (2008).