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とっておき年間画像特集2024

皆既日食を追う
ワシントン記念塔(米国ワシントンD.C.)の背後に見えている日食中の太陽。4月の皆既日食は北米中の人々を魅了した。科学者にとっては、太陽のコロナと呼ばれる希薄な最外層を、これまでにない高い精度で観測するチャンスとなった。 Credit: Chip Somodevilla/Getty


ギリシャの悲劇
8月には激しい山火事がアテネ郊外に迫った。炎は建物をのみ込み、被害を受けた土地は1万ヘクタール以上に及んだため、地域の人々は住宅や病院、修道院から退避した。ギリシャでは毎年山火事が発生しているが、科学者たちは、気候変動のせいで、その勢いはより激しくなり、回数も増えていると言う。 Credit: Nick Paleologos/Bloomberg Via Getty


ライドシェア
地中海で何時間も海洋生物を探していた写真家のEnric Generは、カモメがウミガメに乗るシュールな光景を撮影することができた。この写真は、Oceanographicの「海洋写真家オブザイヤー」コンテストの最終選考に残った。 Credit: Enric Gener/Ocean Photographer of the Year 2024


流れ星
ペルセウス座流星群は、スイフト・タットル彗星が軌道上に残していった塵の中を地球が通過する際に毎年見られる流星群だ。英国ソールズベリー近郊のストーンヘンジで天体観測をした人々は、先史時代の巨石の上空に流れ星が降る幻想的な光景を楽しむことができた。天体写真家のJosh Duryは、この壮麗な光景を3時間半にわたって撮影し、流星、ストーンヘンジ、天の川を捉えた43枚の写真を組み合わせてこの画像を作成した。 Credit: Josh Drury


ファージの花
襞(ひだ)の寄った花のようなものの正体はバクテリオファージ(細菌に感染するウイルス)の集合体だ。研究者がファージを顕微鏡で観察するために処理したところ、自然にこのような構造をとった。「花」の直径はわずか0.2mmである。 Credit: McMaster University


蝶の眠り
メキシコのミチョアカン州の木々にぶら下がっているのは葉ではなく、数百万頭の眠れるオオカバマダラ(Danaus plexippus)である。オオカバマダラは春にカナダや米国から数千kmも移動してきた後、木々の梢で密集して休息し、体力を回復させる。 Credit: Jaime Rojo/Bigpicture Competition


光のショー
北極光を背景に浮かぶ国際宇宙ステーション。太陽は現在、11年の活動周期のピークに差し掛かっているため、通常より低緯度の地域でもオーロラが観測されている。 Credit: NASA/Reuters/AFLO


ゾウムシのスタントマン
これはファイティングポーズなのだろうか? Sherif Abdallah Ahmedが撮影したヤシオオオサゾウムシ(Rhynchophorus ferrugineus)のクローズアップ写真は、ニコン・スモールワールド顕微鏡写真コンテストで優秀賞を受賞した。 Credit: Sherif Abdallah Ahmed/Nikon Small World Photomicrography Competition


最小の臓器移植
これは、日本の科学者たちが初めてラットの胎仔から別の胎仔へと移植した腎臓である。この研究は、ヒトの胎児への臓器移植の第一歩である。 Credit: K. Morimoto et al./bioRxiv


煙の輪
4月、イタリアのエトナ山が珍しい煙の輪を吐いた。この輪は「渦輪」と呼ばれるもので、新しい火口からガスが噴出する際に形成される。 Credit: Fabrizio Villa/Getty


多才な代謝酵素
このしわしわの構造物はヒトの多能性結腸細胞から作製されたオルガノイドで、代謝酵素MTHFD2が赤く染色されている。科学者たちは、細胞のエネルギー産生とヌクレオチド合成に関与するこの代謝酵素が核内でも働いており、細胞分裂などの重要な機能を調整していることを発見した。 Credit: Natalia Pardo Lorente/Centro de Regulación Genómica


太古の生物
これは恐竜の化石に見えるかもしれないが、2億3700万年前に生息していた主竜形類のPrestosuchus chiniquensisの標本である。横にいる古生物学者のRodrigo Temp Mullerが手にしているのは、Gondwanax paraisensisという爬虫類の化石の中で最も古いものの1つである。 Credit: Reuters/AFLO


大海原への跳躍
南極大陸のコウテイペンギン(Aptenodytes forsteri)のひながエクストレム棚氷の端の高さ15 mの崖の上から海に向かって飛び込む様子が、初めて動画で撮影された。 Credit: National Geographic/Bertie Gregory


人間の皮をかぶったロボット
東京大学の研究者であるNie Minghao(聶 銘昊)は、人工物でできた型を人間の皮膚組織で覆うことで、ぞっとするような顔を作り出した。この手法を用いれば、ロボットに人間の皮膚を接着できるようになるかもしれない。 Credit: Reuters/AFLO


 

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翻訳:三枝小夜子

Nature ダイジェスト Vol. 22 No. 2

DOI: 10.1038/ndigest.2025.250222

原文

The best science images of 2024 — Nature’s picks
  • Nature (2024-12-13) | DOI: 10.1038/d41586-024-03969-z
  • Nisha Gaind, Emma Stoye Natureビジュアルチーム