Review

疼痛における免疫系と神経系の相互作用

Nature Medicine 16, 11 doi: 10.1038/nm.2234

免疫細胞とグリアは、ニューロンと相互作用して痛みに対する感受性を変化させ、急性疼痛から慢性疼痛への移行を媒介する。常在性の免疫細胞は傷害に応じて活性化され、血液中の免疫細胞は傷害部位へと動員される。免疫細胞は、免疫防御に働くばかりではなく、末梢の侵害受容器の感作の誘導にも関与する。免疫細胞、グリアとニューロンは、炎症性メディエーターの合成・放出、また神経伝達物質とその受容体との相互作用を介して、免疫応答を協調させ疼痛経路の興奮を調節する統合ネットワークを形成する。免疫系は、免疫系由来の鎮痛性物質や抗炎症性もしくは消散促進性因子の産生によっても感作を抑制する。痛みへの対処と調整における免疫系の役割をより深く理解することで、鎮痛薬開発のための標的候補や、慢性的疼痛管理の新しい治療機会が明らかになるだろう。

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