Review 疼痛の発生病理における侵害受容器感作 2010年11月1日 Nature Medicine 16, 11 doi: 10.1038/nm.2235 慢性疼痛の発生率は世界で20−25%と推定されている。慢性疼痛がみられる患者のうち、現在使用可能な薬剤によって完全に痛みが除かれる症例はわずかで、半分以上は十分な鎮痛効果が得られない。慢性疼痛管理のためのよりよい薬剤の開発という難問の根底には、急性の組織傷害から、慢性疼痛や原因となる病気が明らかでない疼痛状態への移行を引き起こす機構の不均一性が十分に解明されていないことがある。疼痛の意識的知覚には無傷中枢神経系(CNS)が必要であり、慢性疼痛ではCNSに変化が生じていることが明らかである。CNSへの痛み刺激入力の遮断は不快感や疼痛を効果的に軽減したり、大きく緩和したりするが、慢性疼痛の持続には末梢からの継続的な入力が重要であることが明らかになっている。そこで本総説では侵害受容器に注目し、その興奮性、不均一性および疼痛の開始と持続におけるその役割について考察する。 Full text PDF 目次へ戻る