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がん:がん遺伝子TLX1はT細胞の形質転換で異数性を誘導する

Nature Medicine 16, 11 doi: 10.1038/nm.2246

がん遺伝子TLX1 (転写因子のT cell leukemia homeobox protein-1をコードしている)は、T細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)の発症機序に重要な役割を担っている。しかし、TLX1の下流で起こるT細胞形質転換の特異的な機序は解明されていない。今回我々は、ヒトTLX1遺伝子をマウスに導入して発現させると、Bcl11b(B cell leukemia/lymphoma-11Bをコードする)の欠失や変異を伴うことが多いT-ALLが誘導されることを示し、またヒトT-ALLの16%でBCL11Bに変異と欠失が頻発することを明らかにする。特に、マウスのTLX1腫瘍は概して異数性であり、有糸分裂チェックポイントの活性化には著しい障害がみられた。機序としては、TLX1CHEK1(CHK1 checkpoint homologをコードする)に加えて他の有糸分裂制御遺伝子の発現を直接低下させ、形質転換していない前白血病状態の胸腺で有糸分裂チェックポイント喪失を引き起こす。これらの結果は、がんの発生病理において、腫瘍形成の最も早い段階で起こる染色体不分離や異数性に関与する、これまで知られていなかった機序を明らかにしている。

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