Article 筋疾患:VI型コラーゲン欠損による筋ジストロフィーではオートファジーに欠陥があり、その再活性化により筋繊維の変性が救済される 2010年11月1日 Nature Medicine 16, 11 doi: 10.1038/nm.2247 オートファジーは、細胞成分の代謝回転に不可欠であり、損傷を受けた細胞小器官のオートファジー・リソソーム経路による除去は、組織の恒常性維持に欠かせない。この分解系の欠陥は、さまざまな疾患にかかわっているが、筋ジストロフィーにおけるオートファジーについてはほとんど知られていない。我々は以前に、VI型コラーゲン欠損に関連する筋ジストロフィーでは、ミトコンドリア機能障害および自発的アポトーシスがみられ、これが筋繊維の変性につながることを見いだした。本論文では、異常な細胞小器官のこのような残存とアポトーシスは、オートファジーの欠陥によって引き起こされることを明らかにする。VI型コラーゲンノックアウト(Col6a1−/−)マウスの骨格筋ではオートファジー作用が損なわれており、これはベクリン1およびBnip3(BCL-2/adenovirus E1B-interacting protein-3)の誘導低下および飢餓後にみられたオートファゴソーム欠如と合致する知見である。遺伝学的方法、食餌、あるいは薬理学的方法によってオートファジーを強制的に活性化すると、筋繊維の生存が回復し、Col6a1−/−マウスのジストロフィー表現型が改善された。さらに、ベスレム型ミオパチーまたはウールリッヒ型先天性筋ジストロフィー患者の筋生検試料では、ベクリン1およびBnip3のタンパク質量が低下していた。これらの知見は、オートファジー装置の不完全な活性化が一部の先天性筋ジストロフィーで病因となることを示している。 Full text PDF 目次へ戻る