Article

喘息:CX3CR1は炎症を起こした肺でヘルパーT細胞の生存と維持を促進することで気道炎症に必要とされる

Nature Medicine 16, 11 doi: 10.1038/nm.2253

アレルギー性喘息は、2型ヘルパーT (TH2)細胞が優位となる肺疾患である。喘息患者では、CD4+ T細胞の一部がCX3CL1受容体であるCX3CR1を発現しており、またCX3CL1の発現は、抗原投与によって気道平滑筋、肺内皮および肺上皮で増加する。今回我々は、未処理のCX3CR1欠損マウス、もしくはCX3CR1阻害剤を投与した野生型(WT)マウスでは、抗原による感作と攻撃の際に肺疾患が軽減することを示す。WT CD4+ T細胞をCX3CR1欠損マウスに移入すると、喘息の基本的特徴が再現され、またWT TH2細胞を移入したCX3CR1欠損レシピエントの気道炎症はCX3CR1阻害剤によって抑制された。炎症を起こした肺ではCX3CR1シグナル伝達がTH2の生存を促進すること、またBCl-2(B cell leukemia/lymphoma-2 protein)を導入したCX3CR1欠損TH2細胞をCX3CR1欠損マウスへ移入すると喘息が再びみられるようになることがわかった。CX3CR1に誘導された生存は、気道炎症時にはTH1細胞でも観察されたが、恒常的な状態あるいは末梢炎症時には認められなかった。したがって、CX3CR1とCX3CL1は喘息のよい治療標的になると考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度