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神経内分泌:FGF21は神経系に作用することで代謝と概日行動を調節する
Nature Medicine 19, 9 doi: 10.1038/nm.3249
繊維芽細胞増殖因子21(FGF21)は、全身性の飢餓シグナルとして作用するヘパトカインで、エネルギー源分配および代謝を調整し、細胞増殖を抑制する。しかし、これらのさまざまな影響の作用部位がどこなのかは解明されていない。FGF21は、3つのFGF受容体(FGFR1c、FGFR2c、FGFR3c)の1つとβ-Klotho(代謝組織に豊富に存在する膜一回貫通型タンパク質)との複合体から構成されるヘテロマー細胞表面受容体を介してシグナルを伝達する。本論文では、FGF21は、末梢代謝に及ぼす既知の影響に加えて、全身的なグルココルチコイド濃度を上昇させ、身体活動を抑制し、また概日行動を変化させることを示す。これらはいずれも飢餓に対する適応応答の特徴である。このような影響は、視床下部の視交叉上核と後脳の迷走神経背側複合体でのβ-Klothoの発現を介して起こる。これらの領域でβ-Klothoをコードする遺伝子(Klb)を欠損するマウスは、FGF21のこのような作用に対してだけでなく、代謝、インスリンおよび細胞増殖でもFGF21に抵抗性を示すようになる。これらの知見は、FGF21のさまざまな生理学的および薬理学的な作用の仲介に神経系が重要な役割を持つことを実証している。