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神経内分泌:FGF21は雌の生殖能力の神経内分泌制御に関わっている
Nature Medicine 19, 9 doi: 10.1038/nm.3250
栄養欠乏状態にある際に生殖が防止されるのは、進化上保存されている適応過程で、これは種の生き残りに不可欠である。哺乳類では、飢餓時に生殖能力を阻害する機構は複雑であり、完全には解明されていない。本論文では、絶食によって誘導されるへパトカインの繊維芽細胞増殖因子21(FGF21)に雌マウスを曝露すると、飢餓によって起こる不妊症に類似した症状が見られることを示す。機構としては、FGF21は視床下部の視交叉上核(SCN)に作用し、バソプレシン–キスペプチンシグナル伝達カスケードを抑制し、それによって発情前期の黄体形成ホルモンのサージが阻害される。マウスSCNでFGF21の共受容体であるβ-Klothoを欠失させると、雌の生殖能力に対するFGF21の阻害的影響が見られなくなる。したがって、FGF21は栄養状態の悪化に対する応答の際に雌の生殖能力を調節する、重要な肝臓-神経内分泌軸の決定因子である。