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リンパ腫:T細胞によるFasリガンドを介した免疫監視は自然発生B細胞リンパ腫の制御に必須である
Nature Medicine 20, 3 doi: 10.1038/nm.3442
がん抑制遺伝子PRDM1(別名BLIMP1)の機能喪失、あるいはがん遺伝子BCL6の発現脱調節は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の症例の多くで生じている。しかしながらマウスでは、この2つの遺伝子のどちらかを標的として変異を導入しても、発症が遅く発症頻度も低い悪性リンパ腫しか起こらない。また健常者の活性化B細胞ではBCL6の変異が頻繁に見られるにもかかわらず、リンパ腫の発症はまれである。今回我々は、マウスでB細胞系列でのBlimp1欠損もしくはBcl6過剰発現によって引き起こされる明白なリンパ腫をT細胞が防止していることを示す。T細胞による制御が障害されるとDLBCL様の疾患が速やかに発症するが、これはポリクローナルCD8+ T細胞によって、T細胞受容体、CD28およびFasリガンド依存的に根絶可能である。従って、成熟B細胞の悪性形質転換には、細胞固有の分化過程を障害し、T細胞を介した腫瘍監視を回避可能にする変異が必要である。