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がん:エンハンサーマッピングで明らかになったluminal型乳がん患者での表現型の不均一性と進化

Nature Medicine 24, 9 doi: 10.1038/s41591-018-0091-x

表現型の内因的で患者間に見られる不均一性の程度や、腫瘍の進化におけるその役割については、よく分かっていない。表現型の緩やかな変動(ドリフト)は、遺伝する転写プログラムを介して伝達されることがある。細胞型特異的な転写は、プロモーターやエンハンサーなどのエピジェネティックに規定された調節領域の活性化を介して維持される。今回我々は、エストロゲン受容体(ERα)陽性の原発性および転移性乳がんに由来する47の臨床試料のエピゲノムのアノテーションを行い、調節領域の全体像から表現型の不均一性を推測し、患者間で共通して見られる主要な調節エレメントを突き止めた。共通する領域には、転写因子YY1のモチーフなどの調節性情報の独自のセットが含まれている。YY1は、ルミナル型乳がん患者のほとんどで腫瘍増殖を促進するERαの転写活性に対する重要な決定因子であることが分かった。YY1はまた、内分泌療法に対する抵抗性を仲介する遺伝子の発現にも関与している。さらに、活性化エンハンサーエレメントのH3K27acレベルを表現型の腫瘍内不均一性の代替指標として用い、乳がんのプログレッションを通して表現型ごとの亜集団の拡大と縮小を追跡した。真のYY1-ERα調節型遺伝子であるSLC9A3R1陽性細胞のクローン性を追跡したところ、内分泌療法によって診断時には少数しか存在しなかった表現型クローンが選択されることが分かった。以上のデータは、全身性の治療を受けた乳がん患者での表現型の不均一性と進化に、エピジェネティックな機構が大きく関与することを示している。

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