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喘息:幼児の腸ウイロームは細菌とは独立に就学前喘息のリスクと関連する

Nature Medicine 30, 1 doi: 10.1038/s41591-023-02685-x

腸に生息するバクテリオファージ(ファージとしても知られる)の群集は、細菌集団の構造や機能に大きな影響を及ぼすが、その役割や、幼少期の健康や疾患との関連は分かっていない。本論文では、コペンハーゲン小児喘息前向き研究2010(COPSAC2010)の母子コホートに含まれる1歳児647人について、腸ウイロームの解析を行った。これらの幼児では全員に対して、出生時から詳細な表現型解析と喘息の長期的診断が行われている。解析の結果、腸の特定の溶原性ファージタクソンが、その後の喘息の発症と関連していることが明らかになった。特に、カウドウイルス目の19科に相当するクレード(VFC:virus family level-clade)を統合した存在量が、この関連に大きく関与していることが分かった。喘息に関連するウイロームとバクテリオームのシグネチャーが組み合わさると、喘息のリスクに相加的な影響が見られることから、ウイロームと喘息の関連はバクテリオームとは独立していることが示唆された。さらに、ウイローム関連の喘息リスクは宿主のTLR9遺伝子のrs187084バリアントによって調節されるため、ファージと宿主免疫系の間には直接的な相互作用があることが示唆された。細菌や宿主の遺伝学的性質と共に、ファージを喘息の前臨床バイオマーカーとして使用できるかどうかは、さらなる研究で明らかになるだろう。

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