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CAR T細胞治療の次のターゲットは自己免疫疾患
Nature Medicine 30, 1 doi: 10.1038/s41591-023-02716-7
CAR T細胞療法はB細胞がんの治療に革新をもたらし、バイオテクノロジー企業は現在、全身性エリテマトーデス(SLE)、糖尿病、臓器拒絶反応など、さまざまな病気に対するCAR T細胞療法の開発に取り組んでいる。自己免疫疾患の研究者は、CAR T細胞療法が血液がん治療を一変させたときから、SLEや多発性硬化症、関節リウマチなどの、B細胞が主要な役割を果たす自己免疫疾患でもCAR Tが有効なのではと考えてきた。制御性T細胞は、炎症部位に移動して炎症を抑える働きをする細胞であり、これを増強することで関節リウマチ、炎症性腸疾患、クローン病を治療する方法の開発が始まっている。この治療法は、新規発症1型糖尿病、原発性胆汁性胆管炎、ウイルス性急性呼吸窮迫症候群、進行性多発性硬化症にも応用できそうだ。コストは大きな障害の1つだが、効果の大きいものを作れば、それをより安価で安全にする方法が見つけ出されて、克服されていくかもしれない。