Research Highlights

ナノ医療:マラリアの新診断法

Nature Nanotechnology 2014, 214 doi: 10.1038/nnano.2014.19

現在、マラリアは、侵襲的な血液採取、特異試薬、専門知識に依存する手法を用いて診断されている。ライス大学とジョンズホプキンス大学公衆衛生大学院(いずれも米国)のD Lapotkoたちは今回、非侵襲的で試薬を必要としないマラリア診断法を開発した。この手法では、レーザーを用いて患者の体内のマラリア原虫の内部にナノスケールの気泡を発生させ、その後に起こる気泡の崩壊を検出する。

血液内のマラリア原虫は、赤血球のヘモグロビンを消化して、ヘモゾインと呼ばれるナノ粒子を形成することが分かっている。近赤外レーザーパルスを用いて、このヘモゾインから100 nm程度の小さな気泡を発生させることができる。レーザーによる熱でこの気泡の体積が急速に膨張して、ついには破裂し、音響的あるいは光学的に検出できるシグナルが発生する。Lapotkoたちは、感染したヒト血液試料を用いて、初期段階から成熟段階のマラリア原虫を、ナノ気泡が生成した痕跡に基づいて識別できた。さらに、続いて起こるヘモゾインを含む血球の破壊も検出できたが、健康な血球は影響されなかった。

さらにLapotkoたちは、レーザープローブをマウスの耳に当て、20秒間にレーザーを400パルス照射して音響応答を検出することで、マラリアに感染したマウスの0.00034%程度という低い感染濃度を検出できたことも示した。

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