Research Highlights

単一分子温度測定:DNAヘアピンで温度測定

Nature Nanotechnology 2014, 414 doi: 10.1038/nnano.2014.76

温度を変えながら単一分子の物理化学特性を調べるのは、間接的な方法で行われることが多い。それは、温度の急激な変化を生じさせるのに使われるレーザー照射によって、試料が破壊される可能性があるからである。こうした方法では、in situの温度情報を得ることはできず、測定に不確かさが生じる。ケント州立大学(米国)のH Maoたちは今回、単一DNA分子の機械化学的実験を、温度を精密に制御して行えるようにする手法を開発した。

Maoたちは、毛細管の先端に配置された炭素微粒子を用いている。この微粒子は、光を効率的に吸収でき、光熱効果を通して周辺環境の温度を数ミリ秒以内に約30℃上昇させることができる。DNAヘアピンのすぐ近くに、この微粒子を置く。DNAヘアピンは、光学的にトラップされた2つのビーズの間につなぎとめられていて、DNAが開くときに働く力を記録することができる。つまり、この機械的な開きは温度に依存するので、これを用いて実験のin situ温度を決定できるのである。

Maoたちは、このセットアップを用いて、DNAヘアピンの開きのエンタルピーとエントロピーを得ることができ、この変形のエネルギー地形を再構築できた。

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