Research Highlights

ナノ粒子:臨床用のスティックのり

Nature Nanotechnology 2014, 614 doi: 10.1038/nnano.2014.120

縫合糸やステープルは、出血を止め、傷をふさぎ、臓器を修復するのに手術室で用いられる一般的なツールである。しかし、それらは身体の手の届きにくい部位ではそれほど実用的でなく、組織や臓器に傷を残すことがある。ポリマー接着剤はもう1つの方法として用いられているが、強度が弱く、大きく膨潤し、厳重な保管と調整が必要なため、その利用は限られている。今回、フランスのD LetourneurとL Leiblerたちは、ナノ粒子の水溶液によって、炎症を全く起こさずに皮膚や肝臓の深い傷を迅速にふさぎ治せることを示している。

Letourneurたちは、マイクロピペットや刷毛を用いて、ラットの背中にある長さ1.5 cm、深さ3 mmの傷にシリカナノ粒子の水溶液を塗った。傷の両端を1分間手で押してくっつけると、傷がふさがり始め、3日後に組織学的分析をすると、感染も炎症反応も起きていないことが分かった。このナノ粒子水溶液によって、ラットの肝臓の出血を止め深い切開部を閉じることもできた。さらに、このナノ粒子をラットの心臓の表面に刷毛で塗ると、鼓動する心臓にしっかりと付いた三次元生物分解性ヒドロゲル骨格を、3日たっても炎症の兆候もなく維持できた。

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