Research Highlights
起業:科学者起業家になる方法
Nature Nanotechnology 2015, 1015 doi: 10.1038/nnano.2015.235
ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、ロボティクスなどのハイテク産業は、全世界の知識集約型経済を牽引しており、世界中の大学が、起業家的文化を築き、ライセンス戦略を最適化し、産学連携を進め、スピンオフを支援することに、ますます目を向けるようになっている。自身のアイデアを研究室から市場に移すことに興味を抱いている科学者起業家のために、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学医学系大学院、カリフォルニア工科大学(いずれも米国)、バーミンガム大学(英国)、キング・アブドゥルアズィーズ大学(サウジアラビア)のA Yetisenたちは、この難関を通り抜けるためのさまざまなステップと戦略を概説している。
Yetisenたちによれば、商業化の最初のステップは、知的所有権保護によって競争上の優位性を作り出すことである。次に、起業家は事業の方針と事業を行う期間の概要を記した商業化戦略を策定し、資金調達戦略、マーケティング戦略、出口戦略を作成しなければならない。米国と欧州連合では、起業の各成長段階のために多様な資金源が存在するが、起業家は初期段階では、さまざまなコストを詳しく見積もり、資金を節約するよう助言される。起業に失敗する最大の理由は製品の市場がないことなので、顧客基盤と新技術の費用対効果に対する顧客の認識を理解することが重要である。起業に成功するには、新規事業は、はっきりとした見通し、強い首脳陣、代替策に適応し予期せぬ困難を克服する能力を持たなくてはならない。