スマートフォンをもっとスマートに:診断デバイス
Nature Nanotechnology 2015, 315 doi: 10.1038/nnano.2015.45
カメラは、スマートフォンにおいてデータ処理と通信を行うコンポーネントで、健康用途にますます適合するものになっている。スマートフォンは、使いやすいユーザーインターフェースを持ち携帯性がある上、価格が低下しているため、リソースの限られた場所で使うポイントオブケア・デバイスの有用な要素となる可能性がある。今回、2つの独立した研究チームが、高価な実験室診断検査を手頃な費用で数分以内に行えるようにするスマートフォン用アタッチメントを開発した。
トロント大学(カナダ)のW Chanたちは、スマートフォンのカメラの前面に取り付けが可能なプラスチックの筐体に、電池、レーザーダイオード、レンズ、フィルター、アッセイチップを組み込んだ。このアッセイチップは、さまざまな量子ドットバーコード(量子ドットを注入し、標的分析物と結合する捕獲DNAで機能化したポリスチレンマイクロビーズ)を複数のくぼみに載せたものである。標的分析物の検出は、蛍光標識された2次プローブを用いる標準的なサンドイッチアッセイによって行われる。オーダーメイドのアルゴリズムを用いて、カメラが捉えたバーコードとプローブの発光から、標的分析物が存在するかしないか判断することができる。このデバイスは、2種以上の感染症バイオマーカーを1度の試験で1時間以内に検出できた。
コロンビア大学(米国)とルワンダ生物医学センター(ルワンダ)のS Siaたちは、ルワンダの梅毒を診断する、同様だがより簡素化されたスマートフォン用アタッチメントを開発した。このアタッチメントには、金ナノ粒子、銀イオン、実験室ベースの酵素免疫吸着測定法(ELISA)に似たコンポーネントが含まれる。これは、電池の消耗を抑えるために手動で起動させ、指刺によって採取した血液試料を使えるように設計された。このデバイスをルワンダの医療センターに配備すると、100%に近い感度と79%から100%の特異性で15分以内に診断結果が得られた。これは、実験室での梅毒のスクリーニング試験に匹敵する。