Research Highlights
ハイブリッドナノ構造体:タンパク質によって縫い合わされたDNA
Nature Nanotechnology 2017, 517 doi: 10.1038/nnano.2017.95
DNA折り紙を用いて、生体系における分子の空間配置を制御できる可能性がある。しかし、一本鎖DNAがなく、高いアニーリング温度が必要なため、細胞の環境ではDNA折り紙は難しい。PraetoriusとDietzは今回、in vivo条件への最初の一歩となる、in vitroで二本鎖DNAのテンプレートを折りたたんで明確なナノ構造体を作る方法を報告している。DNA折り紙で一般的なオリゴヌクレオチドのステープル鎖を使う代わりに、転写活性化因子様(TAL)エフェクタータンパク質由来のステープルタンパク質で、2本の平行DNA二重鎖を縫い合わせたのである。
PraetoriusとDietzは、TALエフェクターをエンコードする遺伝子をプログラムして、特定のDNA配列を認識する12種のステープルタンパク質を合成している。そして、ポリメラーゼ連鎖反応を用いてテンプレートDNAの配列を設計することによって、望み通りのさまざまなハイブリッド構造体を作製した。さらに、この合成法は、ステープルタンパク質をエンコードする遺伝子、RNAポリメラーゼ、リボソーム、転写と翻訳の補因子、二本鎖DNA骨格を含むワンポットで実行できる。エンコードされたステープルタンパク質が、平行DNA二重鎖と自己集合して、望み通りのDNA–タンパク質ハイブリッドナノ構造体が形成される。この方法によって、さまざまな機能を持つタンパク質をハイブリッドナノ構造体に組み込むこともでき、その空間配置を正確に制御できる。