Research Highlights

窒素空孔中心:環境によって駆動されるコヒーレント制御

Nature Nanotechnology 2017, 617 doi: 10.1038/nnano.2017.120

スピンキュービット状態のコヒーレント制御と、その2つの量子準位間の時間発展は、エネルギー準位の差に一致する共鳴周波数の交流磁場を外部から印加して実現されることが多い。同時に、周囲の電子環境によって生じる局所ゆらぎが、キュービットの固有量子コヒーレンスを制限し、量子計算アルゴリズムの実装に好ましくない状況をもたらす。

今回、Lillieたちは、いわゆる環境を介した共鳴、つまり単一キュービットの電子環境の直接コヒーレント制御が間接的にキュービット自体に伝わる二重共鳴過程について報告している。彼らの原理実証では、ダイヤモンド結晶表面から約10 nm下にある単一の窒素空孔中心に参照キュービットがエンコードされ、表面の自由電子を環境と見なしている。約1 kOeの静磁場を用いて約2.87 GHzで自由電子にスピン共鳴過程を生じさせるとともに、窒素空孔中心による直接共鳴吸収を防いだ。著者たちは、交流磁場の強度を調節して、自由電子に生じたラビ振動の周波数を、キュービットの|ms = 0〉状態と|ms = 1〉状態の間の特性共鳴周波数に一致させ、キュービットの間接的なコヒーレント制御を示す証拠を得ている。

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