遺伝子合成:合成を多重化する方法
Nature Nanotechnology 2018, 218 doi: 10.1038/s41565-018-0075-5
遺伝子合成は、タンパク質設計など遺伝子の多くの応用に不可欠である。しかし、遺伝子塩基配列解読技術と比べて、遺伝子合成技術はそれほど開発されておらず、現行の段階的な縫製式の合成方法はかなり費用がかかる。今回Plesaたちは、DropSynthと呼ばれるずっと安価なワンポット法を報告している。彼らは、この方法でオリゴヌクレオチドマイクロアレイから複数の遺伝子を同時に合成できた。
このDropSynth法では、バーコードをつけたマイクロビーズを用いて、相補的なバーコードを持つ所望のオリゴヌクレオチドがオリゴマイクロアレイから引き出される。次に、オリゴヌクレオチドを捉えたマイクロビーズが乳化されて、ピコリットルの液滴になり、そこでポリメラーゼサイクリングアセンブリーによって所望の塩基配列を持つ完全長遺伝子が組み立てられる。そして、IIS型制限酵素部位によって、得られた塩基配列がエマルション液滴から解放される。その結果として、2種の大腸菌(E. coli)タンパク質のホモログをエンコードした合成遺伝子を数千個合成するのに成功した。さらに、特定の機能を補完するこのタンパク質ホモログの能力が、多重化した機能アッセイを用いて検証された。こうした結果は、塩基配列と機能の関連の解明を進めるのに役立つ可能性がある。また、このDropSynth法は特殊な器具を必要としないので、オリゴヌクレオチドプールと同程度の価格で遺伝子プールを利用できるようになる。しかし、この方法は大きな遺伝子ライブラリーを得るには有利だが、特定の遺伝子を作製する効率が低すぎるので、製造ニーズを満たすよう改善する必要があることに留意すべきである。