Research Highlights
超分子化学:ジェミニでミセルを作る
Nature Nanotechnology 2019, 419 doi: 10.1038/s41565-019-0431-0
ジェミニ型両親媒性化合物は、有機スペーサーで区切られた同一の両親媒性ユニット2つからなる分子である。高濃度では、ジェミニ型両親媒性化合物は自己集合してナノ構造化した形状になる傾向があり、触媒反応や分離などの用途に使われている。今回、西岡たちは、芳香族ジェミニ型両親媒性化合物が単分散ミセルを形成できることを示している。 まず著者たちは、多環芳香族分子と親水性側基からなるV字形の両親媒性化合物を合成した。そして、直線状のアセチレンスペーサーを使ってジェミニ型両親媒性化合物を完成させた。このジェミニ型両親媒性化合物は曲がった形をしているので、これまでのもののように円柱構造には凝集せず、芳香族成分間の&pai–&pai;スタッキングと疎水性相互作用に駆動されて、サイズと原子組成が制御されたミセルを形成する。このミセルは、ジェミニ型分子4個からなり、寸法が2.7 nmから1. 9nmの間の楕円体形状で、直径約2 nmの疎水性の空洞を作る。西岡たちは、原理証明のための応用として、このミセルがC60分子2つなどの有機化合物を効率よく取り込めることを示している。