Letter

オンチップ原子分光

Nature Photonics 1, 6 doi: 10.1038/nphoton.2007.74

中空の光導波路を通して光を導くことにより、光集積回路に非常に好都合な非固体物質の研究にフォトニクス分野を利用できるようになった。特に興味深いのは、ルビジウムなどの原子蒸気の閉じ込めである。なぜなら、低速光や静止光、単一光子非線形光学、量子情報処理、精密分光、周波数安定化など多様な用途があるためである。今回我々は、シリコンチップ上の中空コアARROW型光導波路(antiresonant reflecting optical waveguide)を用いた初のモノリシック集積型ルビジウム蒸気セルについて報告する。このセルの設置面積は1 cm2未満であり、完全平面光ファイバアクセスが可能で、セル容積は従来のバルクセルより7桁以上小さい。マイクロメートルサイズのモード面積によって、長さ1センチメートル近くにわたる高いビーム強度が実現された。我々は、2を超える光学密度、およびチップ上での飽和吸収分光を実証した。これらの成果によって、フォトニック結晶状構造と光集積回路の長所を併せもつプラットフォーム上で、原子や分子の研究が可能となる。

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