柔軟でウェアラブルなテラヘルツスキャナー

テラヘルツ（THz）波に基づく撮像技術には、強力な非侵襲的検査法に用いることができる大きな可能性がある。しかし、実際の対象物の大半には、さまざまな三次元的湾曲があり、既存のテラヘルツ技術はそうした構成の撮像が難しいことが多く、テラヘルツ撮像が有効な応用の範囲が限定されている。今回我々は、カーボンナノチューブを用いた、柔軟でウェアラブルなテラヘルツスキャナーの開発について報告する。我々は、0.14 THzから39 THzの広い周波数帯にわたる室温テラヘルツ検出を達成し、携帯用テラヘルツスキャナーを開発した。我々はこのスキャナーを使って、不透明な物体の後ろに隠れた試料、曲がった薄い樹脂の破損部分と金属不純物、注射器の多視点スキャンのテラヘルツ撮像を行った。我々は、人間の手の受動的生体測定テラヘルツスキャンを実証した。今回の研究結果は、健康状態を連続的に観察する健康診断など、非破壊検査や非接触検査に大きな影響を及ぼすと予想される。