Article
単一粒子吸収分光計としての光マイクロ共振器
Nature Photonics 10, 12 doi: 10.1038/nphoton.2016.217
ナノスケールの物体の光学測定によって、基本的な生物学的特性、材料特性、フォトニック特性に関する重要な知見が得られる。吸収分光法では、ナノスケールの応用は感度によって制限される。今回我々は、超高感度温度計としてオンチップ・ウィスパリングギャラリーモード(WGM)光マイクロ共振器を用いる、単一粒子二重変調光熱吸収分光法について報告する。マイクロ共振器上でナノスケールの物体を光学的に励起すると、物体の吸収断面積に比例して局所温度が上昇する。我々は、従来のWGMセンシング方式と比べて数桁小さい100 Hz未満という、マイクロ共振器の共振周波数の光熱的変化を分解している。今回の新手法を単一の金ナノロッドに適用したところ、金ナノロッドの局所表面プラズモンと共振器のWGMの結合に起因する一連の密な鋭いファノ共鳴プロファイルが現れ、これによってプラズモニクスとフォトニクスのハイブリッド化の探求が可能になる。より広い応用の観点では、今回の手法は、マイクロ共振器を利用した検出方式に標識不要の分光同定技術を付与したものである。