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表面下のナノ開口アレイによるタイコグラフィック位相顕微鏡法のプラズモン誘起増強
Nature Photonics 15, 3 doi: 10.1038/s41566-020-00752-0
位相差顕微鏡法の発明は光学に革命をもたらし、これによって染色を必要とせずに光透過性の高い試料の可視化が可能になった。この手法は、試料内の位相シフトを利用するもので、生体物質などの相互作用の弱い物体の特性評価に日常的に用いられている。しかし、コントラストの増大と定量化の要求から、より先進的な位相イメージング法の研究が推進され続けている。今回我々は、タイコグラフィック・コヒーレント回折イメージングとプラズモン活性なメタマテリアルを組み合わせることで、メタマテリアル表面における近接場相互作用の利用によって、再構成された位相と振幅の両者が大幅に増強されることを実証する。我々は、厚さ4 nmから4 μmまでのナノ加工試料と組織切片から得た結果を提示する。今回の手法は、メタマテリアルの定量的位相イメージングを可能にすることに加えて、これまで光学顕微鏡では画像化できなかったさまざまな極薄物体や高透明性物体のイメージングへの道を開くものである。