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固体を極低温までレーザー冷却する

Nature Photonics 4, 3 doi: 10.1038/nphoton.2009.269

<p>希薄ガスからマイクロメカニカル振動子までさまざまな物質を冷却するために、レーザー光が利用されてきた。気体のドップラー冷却では、レーザー場との相互作用によって原子の並進エネルギーが小さくなる。最近、放射の衝突再分配による高密度ガスの冷却が実証された。固体のレーザー冷却では、アンチストークス蛍光の過程で格子振動の消滅を通して熱が除去される。1995年に固体のレーザー冷却が初めて観測されて以来、さまざまな研究がなされ、イッテルビウムドープガラスで温度208 Kが実現されている。本論文では、90 mWの冷却能力で、室温から温度約155 KまでイッテルビウムドープLiYF<SUB>4</SUB>結晶を冷却したことを報告する。この結果は、結晶ホストにおけるシュタルク・マニホールド共鳴を利用することによって達成されたものであり、寒剤や機械的冷却を利用せずにこれまで達成された最低温度を示している。光学冷却は極低温領域に入り、多段ペルチェ冷却器の性能をしのぐものとなっている。</p>

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