Letter
単一細胞の生物学的レーザー
Nature Photonics 5, 7 doi: 10.1038/nphoton.2011.99
約50年前に発明されて以来、レーザーは現代の科学技術に多大な影響を与えている。それにもかかわらず、これまでレーザー発振はドープ結晶、半導体、合成色素、高純度気体などの人工的な、つまり工学的に作り出された光利得材料に頼ってきた。本論文では、細胞中の蛍光タンパク質が光増幅を行う有望な利得媒質であることを示し、緑色蛍光タンパク質(GFP)を使った生物学的細胞レーザーの実現に初めて成功したことを報告する。我々は、組み換えGFPの溶液を使ったin vitroタンパク質レーザーを実証し、GFPを発現する単一の生細胞を使ったレーザーを紹介している。ナノジュール/ナノ秒パルスにより光ポンピングを行うと、Q値の高い微小共振器中の個々の細胞は、固有縦モードと固有横モードを持ち指向性がある狭帯域の明るいレーザー発光を生じる。長期間レーザー動作をさせた後でもレーザー発振細胞は生き続けた。生物系からや生物系内での光増幅とレーザー発振は、新しい形の細胞内センシング、サイトメトリー、イメージングへの道を開く。