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エルビウムドープ光ファイバーにおけるもつれた通信波長光子の量子記憶
Nature Photonics 9, 2 doi: 10.1038/nphoton.2014.311
将来、量子インターネットを実現するには、ローカルノードにおける量子情報の処理や記憶と、自由空間リンクや光ファイバーリンクを用いたリモートノード間の相互接続が必要になる。光の量子メモリーは、そうした量子ネットワークの重要な要素である。しかし、これまでのところ、標準的な通信ファイバーインフラストラクチャーと互換性のある波長で動作する非古典的状態の光の原子量子メモリーも、量子メモリーのファイバーを用いた実装も報告されていない。今回我々は、光子エコー量子メモリープロトコルを用いて、長さ20mのシリカファイバーにドープされた極低温エルビウムイオン集団において、795 nm光子と量子もつれした1,532 nm光子の記憶と忠実な呼び出しを実証している。今回の広帯域光–物質インターフェースは、今のところ効率と記憶時間が不十分であるが、ファイバーベースの量子ネットワークを現実に一歩近づけるものである。