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チロシナーゼ系遺伝子レポーターを用いた哺乳類組織のin vivo深部光音響イメージング
Nature Photonics 9, 4 doi: 10.1038/nphoton.2015.22
光音響イメージングは、光吸収を利用することによって、光学顕微鏡法では観察できないような深部の高分解能のin vivo分光イメージングを可能にする。最近になるまで、光音響イメージングは、内因性ヘモグロビンコントラストによる血管系の可視化にほぼ限られており、外部から造影剤を投与しなければほとんどの無血管組織を可視化できなかった。遺伝的にコード可能な光音響コントラストは、細胞の選択的標識化を可能にし、例えば特定遺伝子発現、細胞増殖、複雑な生物学的挙動などの研究がin vivoで可能になるため、魅力的である。本論文では、新しい光音響イメージングスキャナーと、ヒト細胞株に光吸収性色素ユーメラニンを合成させて光音響コントラストを向上させるチロシナーゼ系レポーターシステムについて報告する。マウスに移植したチロシナーゼ発現細胞から形成された異種移植片の詳細な三次元画像が、100μm未満の空間分解能で10 mm近い深さまでin vivoで得られた。この方式は、哺乳類の深部組織における細胞過程や遺伝過程を調べる強力な手段となる。