最新Review
Nature Reviews Materials に掲載されたReview ArticleまたPerspectiveについて、その概要を日本語で紹介しています。
間葉系幹細胞工学における受容体制御
Receptor control in mesenchymal stem cell engineering
doi: 10.1038/natrevmats.2017.91
間葉系幹細胞(MSC)の運命は材料工学によって誘導される可能性がある。本Reviewでは、MSC増殖・分化におけるインテグリンと増殖因子受容体のクロストーク機構と、インテグリンと増殖因子受容体の相乗的シグナル伝達を誘発する材料設計戦略にスポットを当てる。
有機太陽電池用の非フラーレンアクセプター
Non-fullerene acceptors for organic solar cells
doi: 10.1038/natrevmats.2018.3
非フラーレンアクセプターは、過去3年間にわたって有機太陽電池に広く用いられてきた。本Reviewでは、最も有望な2種類の非フラーレンアクセプター(リレンジイミド系物質と縮合環電子アクセプター)に注目し、構造と特性の関係、ドナーとアクセプターのマッチング基準、デバイス物理について論じるとともに、この分野における今後の研究の方向性について検討する。
不揮発性メモリー向けカーボンナノ材料
Carbon nanomaterials for non-volatile memories
doi: 10.1038/natrevmats.2018.9
カーボンナノ材料によって不揮発性メモリー技術が大きく進歩した。本Reviewでは、新しい不揮発性メモリーデバイスとの関連において、メモリー電極、界面エンジニアリング層、メモリーセレクター、抵抗スイッチング媒体としての各種カーボンナノ材料の応用について論じる。
クモの糸の構造と機能の関係を明らかにする
Uncovering the structure–function relationship in spider silk
doi: 10.1038/natrevmats.2018.8
実験とコンピューターによる研究で、クモの糸の分子構造、階層構造、分子ダイナミクスのさまざまな特徴が明らかになっている。本Reviewでは、こうした研究によって解明されるクモ糸の構造と機能の関係を論じるとともに、この知見を利用してクモ糸のリバースエンジニアリングを可能にする方法を検討する。
機械的力と電場のin vivo イメージングのためのナノ材料
Nanomaterials for in vivo imaging of mechanical forces and electrical fields
doi: 10.1038/natrevmats.2017.80
機械的力と電場は細胞内シグナル伝達に重要であり、両者とも疾患の誘導因子や指標となる可能性がある。本Reviewでは、ナノスケールのin vivo 光プローブの進歩に注目し、生体イメージングにおける時間的・空間的分解能、安定性、刺激感受性について論じる。
有機電気化学トランジスター
Organic electrochemical transistors
doi: 10.1038/natrevmats.2017.86
有機電気化学トランジスター(OECT)は、電解質から有機半導体にイオンが注入されることで機能する。本Reviewでは、OECTの物理的性質、有機材料、作製技術のほか、回路、バイオエレクトロニクス、メモリーデバイスへのOECTの応用について論じる。
標的化薬物送達と4D細胞培養のための光応答性生体材料
Photoresponsive biomaterials for targeted drug delivery and 4D cell culture
doi: 10.1038/natrevmats.2017.87
光を用いることによって、高い空間的・時間的制御性で化学反応を開始することができる。本Reviewでは、動的精度をもたらす光化学反応に注目して、薬物送達制御や複雑組織工学のために開発された光応答性生体材料について検討する。
ハイブリッドナノ構造体のエピタキシャル成長
Epitaxial growth of hybrid nanostructures
doi: 10.1038/natrevmats.2017.89
エピタキシャルハイブリッドナノ構造体は、個々の構成材料と異なる機能や構成材料よりも優れた応用性能を示す可能性がある。本Reviewでは、さまざまな構成のエピタキシャルハイブリッドナノ構造体の作製方法や特性評価方法について論じるとともに、ハイブリッドナノ構造体の特性や応用性能に影響を与えるエピタキシャル成長の役割について検討する。
DNAナノテクノロジー
DNA nanotechnology
doi: 10.1038/natrevmats.2017.68
DNAナノテクノロジーの分野では、DNA分子は生物学の域を超え、その情報を使って構造モチーフが組み立てられ、こうしたモチーフ同士がさらにつなぎ合わされている。本Reviewでは、DNAナノテクノロジー分野の歴史やDNAナノ構造体の組み立てに用いられる方法を概説した後、新しい応用について検討する。
組織と電子デバイスの接合: 植え込み型デバイスから人工組織まで
Tissue–electronics interfaces: from implantable devices to engineered tissues
doi: 10.1038/natrevmats.2017.76
電子デバイスの進歩によって、人体からさまざまなデータをとる機会や病気治療の機会が開かれた。本Reviewでは、デバイスとの一体化に影響を及ぼす組織の特性を説明するとともに、臓器や人工組織と接合する電子システムに注目している。
金属有機構造体由来のナノ材料
Nanomaterials derived from metal–organic frameworks
doi: 10.1038/natrevmats.2017.75
金属有機構造体(MOF)から得られるナノ材料は、センシング、ガス貯蔵、触媒反応、エネルギー関連用途において優れた性能を示す。本Reviewでは、MOF由来ナノ構造体の形態が性能に及ぼす影響を明らかにし、この分野での機会について論じる。
ダイヤモンド中の窒素-空孔中心に基づく磁気測定で凝縮系物理学を探る
Probing condensed matter physics with magnetometry based on nitrogen-vacancy centres in diamond
doi: 10.1038/natrevmats.2017.88
ダイヤモンド中の窒素-空孔(NV)欠陥のスピンは、凝縮物質系の特性をナノスケールで調べることができる原子サイズの高感度磁場センサーとして機能する。本Reviewでは、NV磁気測定を紹介し、静的・動的磁性や電流分布の研究への応用について論じる。
建物一体型太陽電池向けの発光型太陽光集光器
Luminescent solar concentrators for building-integrated photovoltaics
doi: 10.1038/natrevmats.2017.72
発光型太陽光集光器(LSC)によって、無電極ガラスユニットなどの半透明太陽電池建材を「目に見えない」形で建物外面に組み入れるユニークな機会がもたらされる。本Reviewは、ニアゼロエネルギー建築物に向けてLSCを現実的な技術に変える進歩について注目するとともに、さらなるデバイス最適化のための残された課題と戦略について述べる。
材料科学と建築
Materials science and architecture
doi: 10.1038/natrevmats.2017.82
「デザイナー」材料や先端的な製造技術が建築を変えつつある。したがって、今では、建築家、エンジニア、材料科学者は協力して革新的な建築ソリューションを開発している。本Reviewでは、木材、セラミックス、金属、コンクリート、ガラス、合成複合材料、ポリマーなど、さまざまな材料に関する進展を取り上げる。
コヒーレント完全吸収体: 光による光の線形制御
Coherent perfect absorbers: linear control of light with light
doi: 10.1038/natrevmats.2017.64
コヒーレント完全吸収体(CPA)は、電磁エネルギーの吸収が入射波の干渉によって促進される電磁構造体である。本Review では、光による光の線形制御に向けて、CPAの基本原理、実現、有望な用途についてまとめる。
広く組成調節可能な半導体合金ナノ材料におけるバンドギャップ工学
Bandgap engineering in semiconductor alloy nanomaterials with widely tunable compositions
doi: 10.1038/natrevmats.2017.70
ナノスケールの半導体材料は、格子不整合に対する許容性が高いため、合金組成やバンドギャップエネルギーをほぼ任意に制御できる。本Reviewでは、半導体合金ナノ材料を検討し、その合成と特性に加え、レーザー、固体照明、太陽電池などへの応用可能性を論じる。
ピコスケール材料工学
Picoscale materials engineering
doi: 10.1038/natrevmats.2017.60
ピコスケールのボンドエンジニアリングは、材料特性を調節する強力な手法である。本Reviewでペロブスカイト、超伝導体、トポロジカル材料といった例をあげて論じる通り、ピコ科学はナノ科学を超えて究極の長さスケールをもたらし、個々の原子間のわずかな結合ひずみを通して材料操作を実現する。
ひずみ制御された多元金属ナノ材料表面における電極触媒作用
Strain-controlled electrocatalysis on multimetallic nanomaterials
doi: 10.1038/natrevmats.2017.59
多元金属ナノ材料の表面ひずみの調節は、その電極触媒特性を向上させる効果的な手法である。本Reviewでは、酸素還元反応をモデルとして用い、ナノ触媒におけるひずみの導入・調節・定量化に加え、表面ひずみと触媒活性の基本的関係について論じる。
一重項励起子分裂を利用してショックレー–クワイサーの限界を破る
Harnessing singlet exciton fission to break the Shockley–Queisser limit
doi: 10.1038/natrevmats.2017.63
一重項励起子分裂は有機半導体におけるキャリア増倍過程であり、この過程を利用すれば、従来の無機太陽電池の効率向上や、単一接合光起電デバイスのShockley–Queisser限界の突破につながる可能性がある。本Reviewでは、この分野における最近の進歩を評価し、重要な結果に注目し、今後の重要課題を確認する。
フレキシブルなメカニカルメタマテリアル
Flexible mechanical metamaterials
doi: 10.1038/natrevmats.2017.66
メカニカルメタマテリアルは、従来の材料では実現できないエキゾチックな特性を示す。本Reviewでは、最近開発された変形メタマテリアル、トポロジカルメタマテリアル、非線形メタマテリアルについてその機能と設計原理とともに論じ、この分野の今後の課題を概説する。
完全水分解のための粒子状光触媒
Particulate photocatalysts for overall water splitting
doi: 10.1038/natrevmats.2017.50
粉末状光触媒を用いる水の完全分解は、太陽光を利用して水素を大量生産する有望な手法である。本Reviewでは、1段階および2段階光励起型完全水分解のための粒子状光触媒に関する最近の進展について詳説する。
クラスター前駆体からのポリオキソメタレート骨格材料の設計と合成
Design and synthesis of polyoxometalate-framework materials from cluster precursors
doi: 10.1038/natrevmats.2017.54
無機酸化物材料は、半導体エレクトロニクスやイオン交換、触媒反応、コーティング、ガスセンサー、分離材料に用いられている。本Reviewでは、ポリオキソメタレートクラスターがいかに分子制御しやすいか、またビルディングブロックの分子的性質ゆえに、どのように集合させれば無機骨格を形成できるかについて説明する。
熱電材料およびトポロジカル絶縁体としてのテトラジマイト
Tetradymites as thermoelectrics and topological insulators
doi: 10.1038/natrevmats.2017.49
Bi2Te3などのテトラジマイト型材料は、常温付近で優れた熱電性能を示す材料として数十年前から関心を集めており、最近ではトポロジカル絶縁体に関する多くの独創的な研究を可能にした。本Reviewでは、そうした研究でのバルクや薄膜のテトラジマイトの特性最適化に関する最近の進展について論じる。
翻訳手段: mRNAの治療的送達を目的とする非ウイルス物質
Tools for translation: non-viral materials for therapeutic mRNA delivery
doi: 10.1038/natrevmats.2017.56
本Reviewでは、mRNA治療分野における最近の進展をまとめる。mRNAを封入・送達する合成材料について論じるとともに、mRNA薬の商業的発展について概説する。
DNAベースのキラルプラズモニック・ナノ構造体
Chiroplasmonic DNA-based nanostructures
doi: 10.1038/natrevmats.2017.39
DNA骨格を用いるさまざまな集合化方法によって、ナノ粒子やナノロッドからなる非対称なキラルプラズモニック構造体を形成することができる。本Reviewでは、こうした集合化方法、静的な系と動的に再構成可能な系のキラルプラズモニック特性、キラルプラズモニック構造体の理論モデリング、センシングや情報処理への応用、将来の展望について論じる。
グラフェン系スマート材料
Graphene-based smart materials
doi: 10.1038/natrevmats.2017.46
グラフェンとその巨視的な集合体および複合材料は、現在、さまざまな刺激に対して応答する一連の高性能「スマート」材料を実現可能にしつつある。本Reviewでは、さまざまなグラフェン系材料について解説するとともに、アクチュエーター、化学センサーや歪センサー、自己修復材料、光熱治療法、制御型薬物送達への応用可能性について論じる。
材料科学と細胞生物学の境界領域におけるアクティブマター
Active matter at the interface between materials science and cell biology
doi: 10.1038/natrevmats.2017.48
アクティブマターの分野では、内部駆動により運動する構成要素が自己組織化することで大規模な動的状態やパターンが生成する過程や機構が研究される。本Reviewでは、細胞生物学を理解する上でアクティブマターの概念がどのように重要なのかについて、また生化学的構成要素を用いることで、これまでほぼ生物にしか見られなかったユニークな特性を持つ本質的に非平衡な新材料を創成可能にする方法について検討する。
コンピューターによる熱電材料の発見
Computationally guided discovery of thermoelectric materials
doi: 10.1038/natrevmats.2017.53
新しい熱電材料の発見は、化学空間の多様性と実験的研究の逐次性ゆえに困難である。本Reviewでは、コンピューターを用いる熱電材料発見の進展にスポットを当て、主な未解決の課題を明らかにする。
2D遷移金属ジカルコゲナイド
2D transition metal dichalcogenides
doi: 10.1038/natrevmats.2017.33
二次元遷移金属ジカルコゲナイド(TMDC)は、魅力的な電子的特性と機械的特性を示す。本Reviewでは、TMDC の電荷密度波相、超伝導相、トポロジカル相について解説するとともに、TMDC の合成とデバイスへの応用、移動度向上とひずみエンジニアリングによる特性向上について論じる。
コンピューター利用によるナノ多孔性材料ゲノム技術の進展
Computational development of the nanoporous materials genome
doi: 10.1038/natrevmats.2017.37
現在、ビッグデータの解析と従来のコンピューターによる熱力学計算を組合せることで、ナノ多孔性材料の発見が促進されている。本Reviewでは、コンピューター・データベースの作成と、ガス分離を目的とした大規模スクリーニングの結果に重点を置いて、現在の最先端技術を分析している。
CO2捕捉・再生・変換を目的とした金属有機構造体の化学
The chemistry of metal–organic frameworks for CO2 capture, regeneration and conversion
doi: 10.1038/natrevmats.2017.45
本Reviewでは、CO2 の捕捉・精製・有用生成物への変換という炭素サイクル全体への応用を目的とした最先端の金属有機構造体について、その構造的特徴や化学的特徴を詳述する。
溶液プロセス可能なタンデム太陽電池を可能にする低バンドギャップ共役ポリマー
Low-bandgap conjugated polymers enabling solution-processable tandem solar cells
doi: 10.1038/natrevmats.2017.43
ポリマー太陽電池に低バンドギャップ(<1.6 eV)ポリマーを導入することによって、近赤外太陽エネルギーを取り入れ熱損失を減らす効果的なタンデム構造を形成できる。本Reviewでは、さまざまな低バンドギャップポリマー含有タンデム太陽電池、すなわち、純粋なポリマー–ポリマータンデム構造、ハイブリッド型のポリマー–アモルファスシリコンタンデム構造、非従来型のペロブスカイト–ポリマータンデム構造の太陽電池について、最近の進展をまとめるとともに今後の展望を論じている。
がんのナノセラノスティクスを再考する
Rethinking cancer nanotheranostics
doi: 10.1038/natrevmats.2017.24
ナノセラノスティクスは、治療機能と診断機能を兼ね備えたナノスケールの薬剤システムである。がんのナノセラノスティクスは、個々の腫瘍の特徴付け、ナノ粒子と腫瘍の相互作用の理解と予測、治療の最適化のためのナノ医薬の調節に用いられる可能性があり、医薬品の研究開発や臨床腫瘍学に革命をもたらす大きな可能性を秘めている。
磁気スキルミオンの物理の進歩と潜在的応用
Magnetic skyrmions: advances in physics and potential applications
doi: 10.1038/natrevmats.2017.31
磁気スキルミオンはトポロジーで保護されたスピン渦であり、その移動・生成・消滅を制御することができるため応用が期待されている。本Reviewでは、室温におけるスキルミオンの安定化の基礎物理や、スピントロニクス向けに有望なスキルミオンの応用が論じられている。
自然に着想を得た超濡れ性を示す系
Nature-inspired superwettability systems
doi: 10.1038/natrevmats.2017.36
自然を研究して生物系における特殊な濡れ現象のメカニズムを明らかにすることによって、超濡れ性を示す機能性界面材料の設計や作製が効果的に促される可能性がある。本Reviewでは、超濡れ性を示す系の歴史的発展、新しい現象、新しい応用が論じられている。
光起電力応用に向けたハイブリッドペロブスカイトの物理的特性の理解
Understanding the physical properties of hybrid perovskites for photovoltaic applications
doi: 10.1038/natrevmats.2017.42
ハイブリッドペロブスカイトのユニークな物理的特性が高開放電圧・高効率太陽電池の作製を可能にしている。こうした太陽電池の商業化に向けてさらに開発を進めるためには、ハイブリッドペロブスカイトの特性の理解が不可欠である。本Reviewでは、そうした特性の理解の進展についてまとめている。
1Dデバイスにおけるエネルギーハーベスティングとエネルギー貯蔵
Energy harvesting and storage in 1D devices
doi: 10.1038/natrevmats.2017.23
ウエアラブル電子デバイスは、高い性能に加え、柔軟性と通気性が必要である。本Reviewでは、典型的な1D構成に存在する界面に重点を置いて、1Dエネルギーハーベスティング・貯蔵デバイス(ファイバー系システムの形態をとる)について概説している。
外部刺激と刺激誘発標的化による薬物送達戦略
External triggering and triggered targeting strategies for drug delivery
doi: 10.1038/natrevmats.2017.20
外部から刺激を受けて機能する薬物送達システムには、さまざまな刺激に対して敏感な新材料や既存材料が用いられる。こうしたシステムは、多くの疾患の治療を向上させる機会をもたらす。
溶液プロセス半導体のヘテロ構造化による電荷輸送の設計
Engineering charge transport by heterostructuring solution-processed semiconductors
doi: 10.1038/natrevmats.2017.26
異種材料のヘテロ構造化や混合によって、溶液プロセス半導体のキャリア移動度と励起子結合を制御する新しい自由度が得られる。本Reviewでは、ヘテロ構造を有する材料とデバイスの最近の例にスポットを当て、この分野の今後の方向性を検討している。
機能性窒化炭素材料 — 電気化学デバイス向けの設計戦略
Functional carbon nitride materials — design strategies for electrochemical devices
doi: 10.1038/natrevmats.2017.30
窒化炭素は、触媒、半導体、バッテリー材料、メモリーデバイス向けの潜在的に安価な金属フリーの代替材料である。本Reviewでは、窒化炭素材料の合成、設計、モルフォロジーについて論じるとともに、テンプレート法、エッチング、色素増感、ヘテロ原子ドーピング、共重合などの方法や、さまざまなヘテロ接合の形成によって、デバイス性能を向上できることを示している。
原子間力顕微鏡法を利用したバイオインターフェースの特性評価と設計
Atomic force microscopy-based characterization and design of biointerfaces
doi: 10.1038/natrevmats.2017.8
原子間力顕微鏡法(AFM)を用いる手法によって、組織、細胞、膜、タンパク質、核酸、機能性材料などを含む生体材料と合成材料のバイオインターフェースの特性評価と操作が可能になる。本Reviewでは、AFM技術を用いるバイオインターフェースのイメージング、センシング、パラメーター化、設計の長所と短所を論じる。
非線形フォトニックメタ表面
Nonlinear photonic metasurfaces
doi: 10.1038/natrevmats.2017.10
フォトニックメタ表面を用いることで、偏光や光の位相・振幅の制御が可能になる。非線形メタ表面は、巨大非線形光学キラリティー、幾何学的ベリー位相の実現、波面の設計、光学的なスイッチング・変調を可能にし、オンチップ応用が見込まれている。
材料とマイクロ流体工学の相互影響
Interplay between materials and microfluidics
doi: 10.1038/natrevmats.2017.16
本Reviewでは、材料とマイクロ流体工学の相互影響が検討されている。最近の材料作製技術の進歩が流体工学プラットフォームの最前線をいかに押し広げてきたか、次にマイクロ流体工学の新しい可能性がいかに材料設計の進展を促しているかについて重点的に論じられている。
臨床応用可能なin vivoナノ診断に向けて
Towards clinically translatable in vivo nanodiagnostics
doi: 10.1038/natrevmats.2017.14
ナノ診断は、ナノバイオテクノロジーの進歩を活用して病気の可視化と診断を促すもので、現在急浮上中の分野となっている。本Reviewでは、臨床的に意義ある画像診断技術をいくつか概説し、ナノ診断の利用がいかに増えているかについて論じる。
固体電解質で可能になったリチウム電池の化学
Lithium battery chemistries enabled by solid-state electrolytes
doi: 10.1038/natrevmats.2016.103
本Reviewでは、全固体リチウムイオン電池、リチウム空気電池、リチウム硫黄電池、リチウム臭素電池や、メディエーターイオン固体電解質を用いる水系電池のコンセプトなど、固体電解質で可能になった電池化学や電池系の最近の進展について詳しく解説する。
高圧下での材料発見
Materials discovery at high pressures
doi: 10.1038/natrevmats.2017.5
高い圧力は新材料創成に向けて独特な自由度をもたらすため、これまでにない特性を持つ新しい超伝導体、超硬材料、高エネルギー密度材料、エキゾチック化学物質の実現につながる。本Reviewでは、こうした材料や、高圧下での材料発見を目的とする最近開発された理論的・実験的手法について論じる。
ナノ構造液晶におけるイオンと電子の輸送
Transport of ions and electrons in nanostructured liquid crystals
doi: 10.1038/natrevmats.2017.1
液晶ナノ構造を活用して、電子やイオンを輸送できる高度に組織化された1D・2D・3Dチャネルを形成することができる。本Reviewでは、液晶の設計およびその自己集合構造、液晶を利用したデバイスの作製と機能について解説する。
先端材料で3Dメソ構造体を作製するための印刷・折り曲げ・組み立て方法
Printing, folding and assembly methods for forming 3D mesostructures in advanced materials
doi: 10.1038/natrevmats.2017.19
3Dマイクロ構造体やナノ構造体を作製するための材料や方法が新たに見いだされたことで、多様な技術分野に関連する有効な機能がもたらされている。本Reviewでは、最も有効な3D印刷・折り曲げ・組み立て方法に関する最新の結果と将来の動向にスポットを当てる。
機能性材料のドメイン構造における非周期的なトポロジカル秩序
Aperiodic topological order in the domain configurations of functional materials
doi: 10.1038/natrevmats.2017.4
ドメインやドメイン壁は、材料機能の設計に重要な意味を持つ。本Reviewでは、トポロジカルドメイン構造の新しい分類体系を提示し、マルチフェロイック材料、強誘電体、遷移金属ジカルコゲナイド、磁性超伝導体などの材料に適用している。
次世代光検出器のための溶液プロセスで作製した半導体
Solution-processed semiconductors for next-generation photodetectors
doi: 10.1038/natrevmats.2016.100
無機結晶半導体から作製した従来型光検出器は、達成可能な感度と小型化の点で限界がある。溶液プロセスで作製した半導体を用いた光検出器は、作製しやすさ、調節可能なオプトエレクトロニクス特性、良好な性能を兼ね備えているため、次世代光センシング用として可能性がある。
化学的に多様な多機能ハイブリッド有機無機ペロブスカイト
Chemically diverse and multifunctional hybrid organic–inorganic perovskites
doi: 10.1038/natrevmats.2016.99
ハイブリッド有機無機ペロブスカイト(HOIP)は、ハライドやアジドからフォルメート、ジシアナミド、シアニド、ジシアノメタレートまで、多様な化学組成からなる。本Reviewでは、すべてのHOIPサブクラスの合成、構造、特性の進歩について概説するとともに、HOIPの将来の機会について論じる。
エネルギー材料としての水素化物の復活
The renaissance of hydrides as energy materials
doi: 10.1038/natrevmats.2016.91
予想を超える新しい水素化物特性が発見され、水素化物の研究開発に新しい時代が訪れようとしている。本Reviewでは、この急速な進歩について取り上げ、将来のエネルギー貯蔵やエネルギー輸送への応用との関連性を説明し、将来の研究の方向性を提示している。
神経活動記録・調節技術
Neural recording and modulation technologies
doi: 10.1038/natrevmats.2016.93
神経系のダイナミクスと構造の理解には、何十億という神経細胞の活動を記録・調節する手段が必要である。本Reviewでは、神経工学の歴史や、神経組織と人工センサーをつなぐインターフェースにおける材料革新について取り上げる。
エネルギー貯蔵用の2D金属炭化物および窒化物(MXene)
2D metal carbides and nitrides (MXenes) for energy storage
doi: 10.1038/natrevmats.2016.98
これまでに合成・研究されたことのある2D遷移金属炭化物、窒化物、炭窒化物(MXene)は20種類以上あり、これらのほかに数十種類のMXeneが存在すると予測されている。高導電性MXeneは、電気エネルギー貯蔵、電磁干渉遮蔽、電極触媒反応、プラズモニクスなどへの応用が期待されている。
高結晶性2次元超伝導体
Highly crystalline 2D superconductors
doi: 10.1038/natrevmats.2016.94
高結晶性2次元超伝導体は、非常に低いシート抵抗や特異な物理的特性(量子金属状態、量子グリフィス相、面内に印加される磁場に対してはなかなか壊れない超伝導など)を示す。これらの現象の起源や、そうした現象が観測される物質について概説されている。
液体–気体相変化熱伝達のためのナノ構造材料
Nanoengineered materials for liquid–vapour phase-change heat transfer
doi: 10.1038/natrevmats.2016.92
沸騰と凝縮に関する最近の研究によって、かつてない性能が得られ、材料設計に役立つ新しい機構的知見が明らかになった。本Reviewでは、ナノ構造材料に的を絞り、熱伝達性能と長期ロバスト性のさらなる向上に重点を置いて解説している。
プラズモン発色
Plasmonic colour generation
doi: 10.1038/natrevmats.2016.88
プラズモン色材は、大面積表面への着色に使用でき、大量生産と動的再構成が可能であり、回折限界を超える分解能をもたらす可能性がある。本Reviewでは、プラズモン色材の基本特性、プラズモン発色技術を支えるさまざまなプラットフォーム、この分野の最近の進展について論じる。
薄膜強誘電体材料とその応用
Thin-film ferroelectric materials and their applications
doi: 10.1038/natrevmats.2016.87
薄膜誘電体材料は、エレクトロニクスや熱技術、光起電力技術、変換技術への応用に有望であり、その特性は、ひずみエンジニアリングを利用して制御することができる。本Reviewでは、薄膜誘電体材料の基本的性質や新しい特性制御法、新しい誘電体デバイスの開発について取り上げる。
次世代フロー電池技術における材料設計工学
Material design and engineering of next-generation flow-battery technologies
doi: 10.1038/natrevmats.2016.80
フロー電池技術は大型電気エネルギー貯蔵システムの新時代を開く技術である。本Reviewでは、次世代フロー電池向けの最新の革新的材料とその技術的実現可能性を重点的に解説する。
膜分離のための金属有機構造体
Metal–organic frameworks for membrane-based separations
doi: 10.1038/natrevmats.2016.78
金属有機構造体(MOF)は細孔を持つため、気相分離や液相分離に魅力的な材料である。本Reviewでは、MOF系膜の作製や、その特性評価に用いられる解析技術について、MOF系複合材料の表面と界面に重点を置いて概説する。
生体応答性材料
Bioresponsive materials
doi: 10.1038/natrevmats.2016.75
特定の生体信号に対して応答可能な生体応答性材料は、次世代の的確な薬物療法の開発に向けて大変有望である。本Reviewでは、生体応答性材料の設計における最近の進歩に注目するとともに、設計ルールに関する知見や今後の展望をまとめている。
薬物送達制御を目的としたヒドロゲル設計
Designing hydrogels for controlled drug delivery
doi: 10.1038/natrevmats.2016.71
ヒドロゲルは、さまざまな治療薬の放出を空間的・時間的に制御でき、臨床用途が見いだされている。本Reviewでは、ヒドロゲル送達系の基礎となるマルチスケールの機構とそれらの機構の定量的比較について述べるとともに、臨床応用と将来の機会について考察している。
水素キャリア
Hydrogen carriers
doi: 10.1038/natrevmats.2016.59
車載用水素貯蔵、大規模流通、オンサイト水素製造に向けた軽元素水素化物と物理吸着材の戦略的設計・最適化における最近の進歩が概説されている。
光データ記憶用ナノ材料
Nanomaterials for optical data storage
doi: 10.1038/natrevmats.2016.70
超高容量、超長寿命、超低消費エネルギーデータ記憶システムの需要増加を満たすためには、新しい解決策が必要である。次世代光データ記憶方式には、金属ナノ粒子、グラフェン、酸化グラフェン、半導体量子ドット、希土類ドープナノ結晶などのナノ材料が有望である。
平面傾斜メタマテリアル
Planar gradient metamaterials
doi: 10.1038/natrevmats.2016.67
平面傾斜メタマテリアルは、バルク光学素子や平面光学素子の欠点を克服する有望な先進材料であり、さまざまな領域で広く研究されている。本Reviewでは、平面傾斜メタマテリアルの理論モデリングと実験的実現、平面傾斜メタマテリアルを利用した機能性デバイスの設計における最近の進展をまとめている。
柔軟な埋め込み型神経補綴装置を実現する材料と技術
Materials and technologies for soft implantable neuroprostheses
doi: 10.1038/natrevmats.2016.63
埋め込み型神経補綴装置は、神経系とやりとりすることで、体内の損傷の診断や治療を可能にする。本Reviewでは、組織と埋め込んだ装置との界面での物理的・機械的不適合の克服と、長期一体型神経補綴装置の設計に向けた材料面からのアプローチについて検討している。
共有結合性有機骨格構造体: 構造と機能の設計のための材料プラットフォーム
Covalent organic frameworks: a materials platform for structural and functional designs
doi: 10.1038/natrevmats.2016.68
共有結合性有機骨格構造体は、規則正しい多角形構造をとる多孔性結晶性高分子である。本Reviewでは、最近の設計原理と合成反応の進歩を概説し、構造構築と機能設計の現状に注目するとともに、課題と今後の方向性を予測している。
カーボン系メタルフリー触媒
Carbon-based metal-free catalysts
doi: 10.1038/natrevmats.2016.64
貴金属触媒の必要性を減らしたりなくしたりすることは、クリーンエネルギー技術の商業化や種々の重要な工業プロセスに不可欠である。最近、クリーンエネルギーの生成・貯蔵、環境保護、化学品製造といった分野において、カーボン材料が費用効率に優れた高効率メタルフリー触媒になることが示されている。
フォスフォレン: 理論から応用へ
Phosphorene: from theory to applications
doi: 10.1038/natrevmats.2016.61
フォスフォレンは注目すべき機械的・電子的・光学的特性を示す二次元材料である。本Reviewでは、作製技術を概説するとともに、理論的・実験的知見について考察する。また、基本特性からデバイスへの実装まで、フォスフォレンについて広く検討する。
2D材料におけるバレートロニクス
Valleytronics in 2D materials
doi: 10.1038/natrevmats.2016.55
電子バンドのエネルギー極値は、バレーと呼ばれている。2D材料において、区別できる2つのバレーを用いることで情報を符号化できる。他にもバレートロニクスの応用が探索されている。
トランジスター向けの二次元半導体
Two-dimensional semiconductors for transistors
doi: 10.1038/natrevmats.2016.52
2D材料でできた半導体チャネルを有する電界効果トランジスター(FET)は、3D半導体からなるデバイスよりも短チャネル効果の問題が少ないことが知られている。本Reviewでは、FETの性能を評価する数学的枠組みを、グラフェン、遷移金属ジカルコゲナイド、フォスフォレン、シリセンなどの2D材料の特性に重点を置いて概説している。
巨視的長さスケールから微視的長さスケールまで重フェルミオンを探る
Exploring heavy fermions from macroscopic to microscopic length scales
doi: 10.1038/natrevmats.2016.51
重フェルミオン系は、強電子相関の研究に最適である。この興味深い材料系は、関連エネルギースケールの明確な分離によって特徴付けられ、量子臨界点、非フェルミ液体挙動、磁性と共存もしくは競合する非従来型超伝導を示す可能性がある。
エネルギーハーベスティングおよび温度制御のための有機熱電材料
Organic thermoelectric materials for energy harvesting and temperature control
doi: 10.1038/natrevmats.2016.50
熱電材料は、エネルギーハーベスティングや温度制御に使用できる。有機半導体材料は、室温付近で多くの無機材料に匹敵する熱電性能を示す。こうした熱電性能の理解を深めることによって、新型のコンフォーマル熱電モジュールを実現する手段が得られる。
多孔性有機ケージ : 溶解性モジュール型分子細孔
Porous organic cages: soluble, modular and molecular pores
doi: 10.1038/natrevmats.2016.53
固体有機分子ケージは、金属有機構造体に匹敵する表面積を持つようになった。本Reviewでは、さまざまな多孔性有機ケージの合成と構造について概説するとともに、有機ケージと無機またはハイブリッドケージとの違いを際立たせる溶解性、多形、モジュール型共結晶化などの特徴を論じている。
連続状態中の束縛状態
Bound states in the continuum
doi: 10.1038/natrevmats.2016.48
「連続状態中の束縛状態」という魅力的な波動現象は、電子波、電磁波、機械的な波など、さまざまな物質や波動系で見られる。本Reviewでは、こうした束縛状態に共通の物理学的機構に注目するとともに、最近の実験的実現、現在の応用、将来の研究の機会について論じている。
ファンデルワールスヘテロ構造とデバイス
Van der Waals heterostructures and devices
doi: 10.1038/natrevmats.2016.42
二次元層状物質(2DLM)は、表面にダングリングボンドがないため、格子整合やプロセスの相性といった従来の制約なしに多様なファンデルワールスヘテロ構造(vdWH)を形成できる。本Reviewでは、将来のエレクトロニクスやオプトエレクロソニクス向けの2DLM vdWHに関する研究の進歩について論じる。
マルチフェロイクスの進化
The evolution of multiferroics
doi: 10.1038/natrevmats.2016.46
磁気秩序と強誘電秩序を同時に示すマルチフェロイック材料は、電場で磁性を制御する手段をもたらす。本Reviewでは、マルチフェロイック性をもたらす機構、マルチフェロイック薄膜とヘテロ構造、マルチフェロイクスの非平衡ダイナミクス、基本対称性問題、他の研究分野に対するマルチフェロイクスの影響について論じる。
金属膜および多層膜におけるナノスケール磁気スキルミオン: スピントロニクスに新展開
Nanoscale magnetic skyrmions in metallic films and multilayers: a new twist for spintronics
doi: 10.1038/natrevmats.2016.44
磁気スキルミオンは、将来のスピントロニクスデバイスへの応用が期待される準粒子である。本Reviewでは、極薄膜や多層膜における個々のスキルミオンの検出、生成、操作、消去について概説するとともに、電流や外部場によるスキルミオンの制御について論じる。
細胞外基質ミネラル化の材料科学的展望
A materials science vision of extracellular matrix mineralization
doi: 10.1038/natrevmats.2016.41
骨格組織のバイオミネラル化や心臓血管系の病的石灰化には、複雑な機構が関与している。本Reviewでは、生理的・病理生理的な石灰化組織の生理化学的特性や生物力学的特性、より微細な構造を解明する解析的手法について論じる。
液相TEMおよび極低温TEMを用いた材料形成の研究
Investigating materials formation with liquid-phase and cryogenic TEM
doi: 10.1038/natrevmats.2016.35
多様な材料系(無機および有機)における動的過程の研究に液相透過型電子顕微鏡(TEM)や極低温TEMを適用することによって、合成環境や、生物環境、地球化学的環境における材料形成機構に対する理解が変わる。
再生医学における生体材料の設計、臨床移行および免疫応答
Design, clinical translation and immunological response of biomaterials in regenerative medicine
doi: 10.1038/natrevmats.2016.40
組織工学用生体材料の臨床移行によって、その治療効果と妥当性が明らかになるため、生体材料設計の改良が可能になる。本Reviewでは、特に軟骨と角膜の修復に関する生体材料の設計と移行、生体材料とホスト免疫系の相互作用の新たな理解について論じる。
金属ガラスの熱機械的処理: ガラス状態領域を拡張する
Thermomechanical processing of metallic glasses: extending the range of the glassy state
doi: 10.1038/natrevmats.2016.39
多結晶金属については、熱機械的処理(冷間・熱間変形)が確立されている。こうした処理を金属ガラスに対して行うことで緩和状態と若返り状態を得ようと、研究が開始された。これにより、利用可能なガラス状態領域が拡張され、特性の改良が可能になることが期待されている。
無機ナノ粒子の非古典的な核形成と成長
Nonclassical nucleation and growth of inorganic nanoparticles
doi: 10.1038/natrevmats.2016.34
機能設計されたナノ粒子の合成を最適化するには、粒子形成機構を明確に理解する必要がある。本Reviewでは、ナノクラスターの構造的特性と核形成前におけるその役割について示すとともに、非古典的な核形成・成長モデルや、多成分ナノ粒子の不均一核形成について論じている。
電池やスーパーキャパシターなどへのグラフェンの応用
Graphene for batteries, supercapacitors and beyond
doi: 10.1038/natrevmats.2016.33
グラフェンを用いることによって、高速充放電する強力な電池やスーパーキャパシターの開発が可能になった。本Reviewでは、エネルギー貯蔵分野におけるグラフェンの現状について論じるとともに、現在行われている研究活動に注目し、従来の課題の解決策を提示している。
ジントル化学を利用してハーフホイスラー熱電材料を設計する
Engineering half-Heusler thermoelectric materials using Zintl chemistry
doi: 10.1038/natrevmats.2016.32
本Reviewでは、ジントル(価電子配置によって構造が決まる)化学の枠組みの観点からハーフホイスラー化合物の構造、結合、欠陥について説明がなされている。ハーフホイスラー化合物の構造と電子的特性をより深く理解することが、改良型熱電材料の設計に役立つはずである。
適応型の電子デバイスや光電子デバイスのためのピエゾトロニクスとピエゾフォトトロニクス
Piezotronics and piezo-phototronics for adaptive electronics and optoelectronics
doi: 10.1038/natrevmats.2016.31
ピエゾトロニクスとピエゾフォトトロニクスは、圧電半導体ナノ材料の圧電分極特性と半導体特性の組み合わせをうまく利用した適応型の電子デバイスや光電子デバイスを実現する新しい手段をもたらす。本Reviewでは、ピエゾトロニクスとピエゾフォトトロニクスの最近の進展と今後の研究の方向について論じる。。
半導体ナノワイヤーレーザー
Semiconductor nanowire lasers
doi: 10.1038/natrevmats.2016.28
最近の半導体ナノワイヤーレーザーの研究によって、新しい材料、幅広い波長選択性、効果的な電気ポンピング方式がもたらされた。これにより、通信、コンピューティング、センシング、イメージングなどの分野で、こうしたナノスケールレーザーが応用に大きく近づいた。
エネルギー変換・貯蔵デバイスのためのメソ多孔性材料
Mesoporous materials for energy conversion and storage devices
doi: 10.1038/natrevmats.2016.23
エネルギー変換・貯蔵デバイスにメソ多孔性材料が使用される機会が増えつつある。本Reviewは、メソ多孔性材料の合成における最近の進歩と、太陽電池、ソーラー燃料生成、二次電池、スーパーキャパシター、燃料電池の分野における電極や触媒としての応用にスポットを当てている。
材料表面の解析を目的とする、ナノ構造を用いたプラズモン増強ラマン分光法
Nanostructure-based plasmon-enhanced Raman spectroscopy for surface analysis of materials
doi: 10.1038/natrevmats.2016.21
表面増強ラマン分光法は、合理的に設計された新しいプラズモニックナノ構造体の力を借りて、新世代の解析ツール(すなわち、チップ増強ラマン分光法、シェル隔離ナノ粒子増強ラマン分光法)となった。こうした表面増強ラマン分光法は、極めて高い表面感度と空間分解能を持ち、材料科学技術向けに広く応用されている。
腫瘍へのナノ粒子送達の解析
Analysis of nanoparticle delivery to tumours
doi: 10.1038/natrevmats.2016.14
本Perspectiveでは、腫瘍へのナノ粒子送達の基本原理に関して検討・説明するとともに、「腫瘍に蓄積されるナノ粒子は何個か?」「この数がナノメディシンの臨床応用にどのような影響を及ぼすか?」という2つの重要な疑問に答えている。
精密高分子から複雑な材料や系まで
From precision polymers to complex materials and systems
doi: 10.1038/natrevmats.2016.24
21世紀の高分子材料は、環境に応答したり適応したりできる複雑な化学系であろう。そうした材料は、構造を制御して精密巨大分子を合成することや、高分子の相互作用や自己組織化を駆使することによって得られる。
次世代淡水化膜に適した材料
Materials for next-generation desalination and water purification membranes
doi: 10.1038/natrevmats.2016.18
膜は、水不足や水環境汚染を軽減する上で、ますます重要な役割を果たすようになっている。本Reviewでは、水処理用の膜に求められる緊急の条件に対応できる方法に重点を置いて、膜材料を分子レベルで設計する有望なアプローチが解説されている。
高エネルギー密度ポストリチウムイオン電池の可能性と現実
Promise and reality of post-lithium-ion batteries with high energy densities
doi: 10.1038/natrevmats.2016.13
本Reviewでは、ポストリチウムイオン電池の概要が、動作原理、長所、課題に注目してまとめられている。市販用のポーチセル構成で各電池の体積エネルギー密度が調べられており、実際的な重要性の評価と適切な研究の方向性が明示されている。
粒界構造と双晶境界構造を用いて金属中のナノ構造を安定化させる
Stabilizing nanostructures in metals using grain and twin boundary architectures
doi: 10.1038/natrevmats.2016.19
結晶格子に界面などの構造欠陥を導入することによって、材料特性を向上させることができる。本Reviewでは、大角粒界、小角粒界、双晶境界、ナノ双晶構造、ナノ積層構造、傾斜ナノ構造など、さまざまな種類の境界や界面が説明されている。
活性と選択性を調節できるナノ構造電極触媒
Nanostructured electrocatalysts with tunable activity and selectivity
doi: 10.1038/natrevmats.2016.9
クリーンエネルギー生成や環境修復に重要な電気化学反応には、新しい触媒材料が必要とされている。本Reviewでは、O2還元、CO2電解還元、エタノール酸化といったモデル反応において、触媒反応性を向上させるためにナノ構造材料を使用することについて分析がなされている。
鉄ニクタイドおよび鉄カルコゲナイドにおける高温超伝導
High-temperature superconductivity in iron pnictides and chalcogenides
doi: 10.1038/natrevmats.2016.17
鉄系超伝導体は高い転移温度を示す。こうした系の非従来型超伝導の裏に隠された物理は、観測された強電子相関、不良金属(bad-metal)挙動、磁性、電子ネマティック性の存在、量子臨界の存在を考慮することによって研究可能になる。
生物材料における界面の構造と機械的挙動
Structure and mechanics of interfaces in biological materials
doi: 10.1038/natrevmats.2016.7
硬い生物材料の機械的性能は、組成や構造ばかりでなく、材料中に含まれる界面によっても支配される。本Reviewでは、真珠層、骨、木材中の主要な界面の組成、構造、機械的挙動のほか、変形や靭性に関与する界面の役割についても論じる。
DNAを用いてコロイドナノ粒子やコロイドマイクロ粒子の自己集合をプログラムする
Using DNA to program the self-assembly of colloidal nanoparticles and microparticles
doi: 10.1038/natrevmats.2016.8
コロイドナノ粒子やコロイドマイクロ粒子にDNA鎖を結合することによって、これらの粒子に配列特異的な相互作用をさせることができる。本Reviewでは、DNA鎖間の反応からどのように相互作用が発生するのか、また粒子に自己集合の仕方を教える情報をどのようにしてDNA配列に加えるのかに関して、解説がなされている。
単一分子エレクトロニクスの化学的原理
Chemical principles of single-molecule electronics
doi: 10.1038/natrevmats.2016.2
単一分子電子接合は、アンカー、電極、分子ブリッジという3つの構成要素からなる。本Reviewでは、各構成要素の化学構造と電子特性の関係が概説され、スイッチング機能や量子干渉現象にまで議論が広げられている。
音響メタマテリアルによる音の制御
Controlling sound with acoustic metamaterials
doi: 10.1038/natrevmats.2016.1
音響メタマテリアルを用いることにより、非常に制御性よく音波を操作できる。音響メタマテリアルの応用としては、音響イメージングや音響クローキングがある。本Reviewでは、音響メタマテリアルの設計と特性が概説されるとともに、変換音響理論、異方性材料、アクティブ音響メタマテリアルについて論じられている。
金属有機構造体の化学的・熱的・機械的安定性
Chemical, thermal and mechanical stabilities of metal–organic frameworks
doi: 10.1038/natrevmats.2015.18
金属有機構造体(MOF)は、触媒反応をはじめとし、さまざまな応用が期待されている。本Reviewでは、特に触媒反応への応用を念頭に置いて、MOFの化学的・熱的・機械的安定性が論じられている。
可逆性ヒドロゲルの設計によって細胞外マトリックスのダイナミクスを獲得する
The design of reversible hydrogels to capture extracellular matrix dynamics
doi: 10.1038/natrevmats.2015.12
ヒドロゲルの可逆的な化学過程を調節することによって、細胞外マトリックスの動的性質を模倣することが可能になる。細胞伸展、生化学的提示、マトリックスの力学的性質を調節するために、さまざまな化学過程が導入されてきた。
コロイド結晶の集合と相転移
Assembly and phase transitions of colloidal crystals
doi: 10.1038/natrevmats.2015.11
等方性球体でできたコロイド結晶は、単一粒子レベルで結晶化、融解、固体-固体転移を研究するための有力なモデルシステムとなる。調節可能な異方性粒子や活性粒子を利用することによって、結晶集合体や相転移を研究する機会がさらに増える。
光電気化学的エネルギー変換に向けた半導体材料
Semiconducting materials for photoelectrochemical energy conversion
doi: 10.1038/natrevmats.2015.10
光電気化学的(PEC)デバイスを用いることによって、高効率人工光合成が実現される見込みがある。本Reviewでは、最近開発されたPEC用光捕集材料について、その原子構成、電子構造、PECセル中で実際に機能する可能性が詳細に述べられている。
エネルギー生成・貯蔵用材料としてのイオン液体とその固体類似体
Ionic liquids and their solid-state analogues as materials for energy generation and storage
doi: 10.1038/natrevmats.2015.5
最近、再生可能エネルギーへの応用に重要な材料として、イオン液体とその固体類似体である有機柔粘性イオン結晶が浮上してきた。本Reviewでは、こうした材料の合成や、電池、キャパシター、太陽電池、燃料電池、CO2還元用の電解質としての応用における最近の進展を取り上げる。
原子レベルで精密な均一構造のカーボンナノ構造体
Structurally uniform and atomically precise carbon nanostructures
doi: 10.1038/natrevmats.2015.2
グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブなどのナノカーボンを従来の方法で合成すると、さまざまな構造の分子が混ざった混合物が生成する。しかし、ナノカーボンの可能性を十分活用するためには、原子レベルで精密な合成方法が必要である。本総説では、有機化学を利用した合成方法の最近の進歩が解説されている。
治療用血管新生材料の設計指針
Design principles for therapeutic angiogenic materials
doi: 10.1038/natrevmats.2015.6
血管新生はサイトカインによって仲介される。サイトカインは、生理学的な生体機能性材料系としての細胞外マトリックスと協調して機能する。この系を分析することによって、治療的血管新生を誘発する生体模倣合成材料系の設計ルールを特定できる。
防氷表面の設計: 平滑な表面、テクスチャー加工した表面、潤滑剤含浸処理した表面のいずれがよいのか?
Design of anti-icing surfaces: smooth, textured or slippery?
doi: 10.1038/natrevmats.2015.3
撥氷性は、さまざまな親水性表面や疎水性表面で実現できる。しかし、全ての環境状況下で氷をはじく表面を得ることは依然として困難である。本総説では、最近の潤滑剤含浸処理した超疎水表面の開発を中心に、さまざまな手法が概説されている。
有機無機ハイブリッドペロブスカイト: 興味深い電荷輸送特性を示す低コスト半導体
Hybrid organic—inorganic perovskites: low-cost semiconductors with intriguing charge-transport properties
doi: 10.1038/natrevmats.2015.7
有機無機ハイブリッドペロブスカイト(HOIP)では、その電荷輸送特性が優れた太陽光発電性能の原因となっている可能性がある。本総説では、実験的知見と理論的知見をまとめることによって、HOIPの電荷輸送特性が概説されている。また、こうした電荷輸送特性の潜在的起源が考察され、今後の研究の方向性が示されている。
密度汎関数理論を用いた計算によってエネルギー材料を予測する
Computational predictions of energy materials using density functional theory
doi: 10.1038/natrevmats.2015.4
密度汎関数理論は新材料設計に不可欠な手段となった。本総説では、コンピューターを用いた材料設計の原理を詳しく説明するとともに、エネルギーハーベスティングやエネルギー変換、エネルギー貯蔵用の材料に関する予測とその実験的検証の成功例を重点的に解説している。