Nature ハイライト
Cover Story:ヒトのパンゲノム:47人から得られたデータを組み合わせてヒトの多様性を反映する参照リソースが作られた
Nature 617, 7960
ヒト参照ゲノムは、2001年に概要配列が公表されて以来、ヒトゲノミクスの基幹となってきた。しかしこれには、1つのゲノムでは人類の多様性を捉えることが望めないという限界があった。今週号では、ヒトパンゲノム参照コンソーシアムが、遺伝的に多様な47人の遺伝物質を組み合わせた、初めてのヒト概要パンゲノムを提示し、ヒトゲノムのより完全な描像を得ている。さらに2報の論文では、この新たなリソースを用いて、1報はセグメント重複に、もう1報では末端動原体型染色体の短腕に着目して、反復DNAを含むゲノムの領域が調べられている。一連の結果は、このパンゲノムプロジェクトの初期段階で得られたものであり、その最終的な目標は、少なくとも350人の遺伝的多様性を捉えることである。表紙は、球体に巻き付くパンゲノムで、第6染色体の極めて変化しやすいいHLA-A遺伝子内の10種のハプロタイプに関連するパンゲノムの塩基配列のチューブマップのレンダリングを用いている。
2023年5月11日号の Nature ハイライト
天文学:赤方偏移5.7の銀河からの[C II]放射
量子情報:ループホールのないベル不等式の破れの検証
量子物理学:固体エミッター集団が示す共振器量子電気学
物性物理学:分割されたエニオンの示す組み紐統計
ナノスケール材料:調整可能な電子–たわみフォノン相互作用
光物理学:磁場を用いたRGBマイクロLEDの歩留まりの高い自己集積化
材料科学:エアロゾルから複数の組成を持つ材料をプリンティング
化学工学:トリアジン骨格膜内における高速イオン輸送
古海洋学:インド洋の塩分が退氷期の海洋循環を駆動した
政治:COVID-19で拡大した刑務所人口における人種格差
神経科学:運動のホムンクルスの改訂
計算論的神経科学:行動を神経活動にマッピングする新技術
神経科学:抑制性入力がアストロサイトの形態形成を調節
免疫学:腸内微生物相がもたらす治療抵抗性の克服
分子生物学:ノンコーディング領域の翻訳を減らすフェイルセーフ機構
構造生物学:腸内細菌に大量感染しているcrassvirusのタンパク質