Nature ハイライト
Cover Story:火急の問題:北米において干ばつ状態によって夜間火災が起こる仕組み
Nature 627, 8003
表紙は、2023年のカナダの記録的な火災シーズンにおいて、8月にブリティッシュコロンビア州のアダムス湖で起きた夜間の激しい火災の光に照らされた、積み重なった2つの雲である。「昼間は激しく、夜間は穏やか」という従来の日周サイクルから外れ、その代わりに夜間を通して絶え間なく燃焼する山火事の頻度は、継続的な気候変動の下で高くなると予想されている。今回K Luoたちは、北米における山火事の挙動のこの変化の規模を明らかにしている。彼らは、2017〜2020年に北米大陸全体で起こった2万3557件の火災を調べた。その結果、340件の火災において1095回の夜間燃焼事象が見いだされ、大規模な山火事の5分の1に少なくとも1回の夜間事象があったと指摘された。また、干ばつに伴う極めて乾燥した可燃物の供給の増加が、こうした夜間燃焼を駆動したことが見いだされた。結果として著者たちは、干ばつの状況が、夜間燃焼の可能性の予測、ひいては変化する気候に直面する火災管理に役立つと示唆している。
2024年3月14日号の Nature ハイライト
天文学:110億年前のクエーサー中のブラックホールの質量
天文学:結晶の浮上が白色矮星を温める
光分光学:量子限界でのS/N比に達する近紫外デュアルコム分光法
フォトニクス:室温動作可能なゲルマニウム–シリコン単一光子アバランシェダイオード
電池:リチウム–硫黄電池実用化のための導電性ヨウ化硫黄
工学:複雑形状の微細粒子のロール・ツー・ロール3D印刷
電子工学:伸縮自在な高性能有機エレクトロニクスデバイス
環境科学:空中現場測定によって得られた米国の石油・ガス施設からのメタン排出量
生態学:島嶼に働く相利共生フィルター
遺伝学:複数祖先系メタ解析により糖尿病の病因の不均一性を解く
神経回路:「敵の敵は味方」型神経モチーフ
神経科学:長期記憶におけるニューロンとアストロサイトの協力関係
植物科学:カルシウムの恒常性が植物の成長と免疫を調和させる
発生生物学:ヒト造血系の機能的多様性アトラス
免疫学:B細胞関連自己抗原の寛容には胸腺B細胞が重要
エピジェネティクス:エピゲノム編集で効率よく永続的に遺伝子を抑制する
分子生物学:不完全な転写産物が予想外に多い結核菌のトランスクリプトーム
生化学:抗ファージシステムThoerisの活性化機構
構造生物学:停止したリボソームをUFM化して救出するE3リガーゼ