古生物学:かつて沼地に生息していたと示唆される脚の長い「鳥」
Nature
中国の後期ジュラ紀の地層から発見された長い脚を持つ初期の鳥類様恐竜の化石について記述した論文が、今週、Natureに掲載される。この珍しい獣脚類の化石は、当時の鳥類の進化と陸域生態系を解明する上で新たな光明となる。
鳥類は、ジュラ紀に二足歩行恐竜から分岐したが、鳥類の初期の進化史についての我々の知識は、この時代の化石が少ないために限定的なものとなっている。この点で、中国の福建省で新たに発見され、1億4800万~1億5000万年前のものと推定された化石が解明の手掛かりになるかもしれない。今回、Min Wangらは、ジュラ紀の鳥群(現生鳥類と鳥類様恐竜を含むクレード)の中で最も後期の新属新種Fujianvenator prodigiosusの化石について報告している。F. prodigiosusは、キジほどのサイズの鳥群種で、下腿(脛骨)は腿部(大腿骨)の2倍の長さがあった。この特徴は、これまで非鳥類型恐竜では知られていなかったもので、F. prodigiosusは、速く走ることができる恐竜か水辺に生息していた脚の長い恐竜のいずれかだったことが示唆される。この知見は、樹上や空中にいることが多かったと考えられている他の初期の鳥群恐竜とは対照的だ。
F. prodigiosusの化石は、水生種(条鰭類など)と半水生種(カメなど)が大部分を占める多様な脊椎動物化石群の中から発見された。これは、沼地の生態系であったことを示している。Wangらは、この化石群を「政和(Zhenghe)動物相」と名付けた。このように多様性に富んだ生物が生息する環境は、F. prodigiosusが存在していた頃の政和にジュラ紀の脊椎動物相が出現したことを示唆している。そのため、政和動物相は、後期ジュラ紀の北東アジアの生態系に関する我々の知識の重要な欠落部分を埋めるものとなる。
doi: 10.1038/s41586-023-06513-7
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