Research Abstract
マイクロRNA-33はマウスでステロール調節エレメント結合タンパク質1の発現を調節する
マイクロRNA miR-33は、ステロール調節結合タンパク質2(SREBP-2)をコードする遺伝子のイントロンによってコードされ、コレステロールの恒常性を制御する。本稿で堀江らはSREBP-1をmiR-33の標的として同定し、マウスにおいてmiR-33の欠失が食事誘導性肥満と脂肪肝を促進することを明らかにした。
MicroRNA-33 regulates sterol regulatory element-binding protein 1 expression in mice
2013年12月3日 Nature Communications 4 : 2883 doi: 10.1038/ncomms3883
マイクロRNA(miR)はタンパク質をコードしていない短いRNAで、特定のmRNAに結合して翻訳を抑制したり、mRNAの分解を促進したりする。最近、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)2のイントロン内に存在するmiR-33がコレステロール恒常性を制御していて、アテローム性動脈硬化症治療の標的になる可能性があることが示された。本論文では、miR-33を欠失させると高脂肪食誘導性の肥満と脂肪肝が著しく悪化することを示した。我々は、miR-33-/-Srebf1+/-マウスを用いて、SREBP-1がmiR-33の標的であること、またmiR-33-/-マウスの肥満と脂肪肝にはSREBP-1の発現増強が関わっていることを明らかにした。これらの結果は、in vivoでmiR-33が媒介する、SREBP-1とSREBP-2の間のこれまで知られていない相互作用が存在することを明示する。
堀江 貴裕1,2, 西野 共達1, 馬場 理1,桑原 康秀1,中尾 哲史1, 西賀 雅隆1, 宇佐美 俊介1, 出原 正康1, 曽和 尚也1, 矢作 直也3, 島野 仁3, 松村 成暢4, 井上 和生4, 丸澤 宏之5, 中邨 智之6, 長谷川 浩二7, 久米 典昭8, 横出 正之2, 北 徹9, 木村 剛1 & 尾野 亘1
- 京都大学大学院 医学研究科 循環器内科学
- 京都大学医学部附属病院 臨床研究総合センター 早期臨床試験部
- 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 内分泌代謝・糖尿病内科学
- 京都大学大学院 農学研究科 食品生物科学
- 京都大学大学院 医学研究科 消化器内科学
- 関西医科大学 医学部 薬理学
- 国立病院機構京都医療センター 臨床研究センター 展開医療研究部
- 神戸学院大学 薬学部 薬学科
- 神戸市立医療センター 中央市民病院
MicroRNAs (miRs) are small non-protein-coding RNAs that bind to specific mRNAs and inhibit translation or promote mRNA degradation. Recent reports have indicated that miR-33, which is located within the intron of sterol regulatory element-binding protein (SREBP) 2, controls cholesterol homoeostasis and may be a potential therapeutic target for the treatment of atherosclerosis. Here we show that deletion of miR-33 results in marked worsening of high-fat diet-induced obesity and liver steatosis. Using miR-33−/−Srebf1+/− mice, we demonstrate that SREBP-1 is a target of miR-33 and that the mechanisms leading to obesity and liver steatosis in miR-33−/− mice involve enhanced expression of SREBP-1. These results elucidate a novel interaction between SREBP-1 and SREBP-2 mediated by miR-33 in vivo.