Press Release

マウスにおけるマラリア耐性の遺伝

Nature Genetics 35, 4 doi: 10.1038/ng1260

Nature Geneticsの12月号で、マギル大学(カナダ)のPhilippe Grosたちは、体内にピルビン酸キナーゼ(代謝酵素の一種)のないマウスがマラリア原虫に感染しなかったことを報告している。全世界におけるマラリアの健康への影響は甚大で、推定3〜5億の臨床例があり、毎年100万人が亡くなっている。人間の場合、マラリア原虫(Plasmodium種)感染感受性は、数多くの遺伝子によって調節されている。これらの遺伝子によって、マラリアの重症度が決まり、マラリアが自己限定性なのか、致死性なのかが決まる。

人間の赤血球の酸素保持能力(鎌状赤血球貧血とbeta地中海貧血)と代謝酵素G6PDの遺伝的欠損に影響する病原遺伝子多型にはマラリア感染防止作用があり、このためにこの遺伝子多型を持つ人々がマラリアの流行地域に増えた可能性がある。(人間は、確かに自然選択によって進化している。)今回のマウスモデルを使った研究は、世界のどこかで、ピルビン酸キナーゼ酵素の多型を持つ人々がマラリア感染から守られている可能性を示唆している。

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