Technical Report

DNAマイクロアレイを用いて転写因子のDNA結合特異性を迅速に解析する

Nature Genetics 36, 12 doi: 10.1038/ng1473

DNAマイクロアレイをもとにした、タンパク質結合マイクロアレイ(PBM)という新しい技術を開発した。これは転写因子のDNA結合部位配列特異性を、in vitroで、一日以内に、迅速かつハイスループットに同定することができる方法である。本論文では、PBMを使って同定した酵母転写因子Abf1、Rap1、Mig1のDNA結合部位配列特異性について報告する。これらのタンパク質のin vitro結合部位をin vivoの結合部位と比較した結果、PBMで得られた配列特異性はin vivoのDNA配列特異性を正確に反映しうることが示された。Abf1、Rap1、Mig1は、すでに同定されている標的のほかにも、遺伝子間領域に存在する新しい想定標的部位107、90、75にそれぞれ結合した。これらの領域の多くは、新しく見いだされた「開かれた読み枠」の上流に位置していた。比較配列解析の結果、これらの新しく同定された部位は、配列が決定された5つの狭義の酵母種において非常によく保存されており、それゆえ、おそらくin vivoで機能しており、特定の条件下において使われている可能性があると考えられる。同様のPBM実験は、さまざまな生物種のゲノムにおいてシスにはたらく新しい調節エレメントを同定したり、転写調節ネットワークを同定したりするのに有用だろう。

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