Letter ヒト癌研究における最適なマウスモデルを見つけるための比較ゲノム学の適用 2004年12月1日 Nature Genetics 36, 12 doi: 10.1038/ng1481 遺伝的に改変されたマウスは、腫瘍の発達過程に起こる分子レベルの機構を解析するのに広く利用されてきた。しかし、すべてではないにせよ、多くの場合においては、マウスモデルがその対応するヒト疾患の特徴をいかに再現しているかについては不確かだった。これは主として、マウスとヒトの腫瘍を、分子レベルで直接的かつ包括的に比較する正確な方法が欠如していたことによる。本論文では、7種類の異なったマウスモデルから得られた68の肝細胞癌(HCC)と、すでにサブクラスの存在が報告されている91のヒト肝細胞癌から得られた包括的な遺伝子発現パターンを用いて、マウスとヒトのHCCの分子レベルの特徴について直接的な比較を行った。Myc、E2f1、およびMyc E2f1のトランスジェニックマウスから得られたHCCの発現パターンは、よりよい生存率をもつヒトHCCのグループの発現パターンに最もよく似ていたが、Myc Tgfaトランスジェニックマウスから得られたHCC、およびジエチルニトロソアミン誘発マウスHCCの発現パターンは、より悪い生存率をもつヒトHCCのグループによく似ていた。Acox1?/?マウスのHCC、およびシクロフィブレート誘発HCCの発現パターンは、ヒトHCCでみられるものとの類似が最も小さかった。我々の方法は、ヒトの癌を研究するときに適切なマウスモデルを効率よく見つけることができると結論しうる。 Full text PDF 目次へ戻る