Letter 個々の細胞におけるp53-Mdm2フィードバックループのダイナミクス 2004年2月1日 Nature Genetics 36, 2 doi: 10.1038/ng1293 非常に熱心な研究が進められているタンパク質の1つである癌抑制因子p53は、通常、細胞集団での平均を求める実験によって研究されているが、それでは個々の細胞における動的な挙動が現れてこない可能性がある。我々は、個々の生細胞においてp53とその負の調節因子Mdm2のダイナミクスを追跡するシステムを示す。このシステムは、機能的なp53-CFPおよびMdm2-YFP融合タンパク質と蛍光タイムラプス顕微鏡を使用する。我々は、DNA損傷の後、p53が一連の独立したパルスで発現することを見いだした。遺伝的に同一の細胞において、異なった数のパルス(0、1、2かそれ以上)が認められた。それぞれのパルスの平均の高さと持続時間は決まっており、DNA損傷の量に依存しなかった。しかしながら、平均のパルス数はDNA損傷により増加した。この手法は他のシグナル伝達系の研究に利用可能であり、またp53-Mdm2フィードバックループは、損傷が修復されるかあるいは細胞が死ぬまで、時間調整された量のp53を放出する「デジタル」時計をつくりだしていることが示唆される。 Full text PDF 目次へ戻る