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胸腺細胞の成熟過程における活性のないクロマチンの動的な集合

Nature Genetics 36, 5 doi: 10.1038/ng1351

遺伝子の活性化に関しては分子レベルの事象の時間的解析が活発に行われ、かなりの知識が得られているが、それに対して遺伝子の抑制に関しては、技術的なハードルのため時間的解析が遅れていた。本論文では、マウスのDntt(ターミナルトランスフェラーゼ遺伝子)の不活性化クロマチン集合の時間的変化ついて述べる。このクロマチンは胸腺の成熟過程において抑制され、そののちセントロメア周辺のヘテロクロマチンへの再配置が起こる。不活性化はDntt遺伝子のプロモーター部分において起こり、まずヒストンH3の9番目のリシン(H3-Lys9)の脱アセチル化、ついでH3-Lys4のメチル化の消失とH3-Lys9のメチル化が生じ、最後にそれぞれの現象が両方向性に広がっていく。H3-Lys9の脱アセチル化はセントロメア周辺の再配置と一致しており、この早期に起こる現象のどちらも新たなタンパク質合成を必要としない。CpGのメチル化は主に胸腺を出た成熟T細胞において増えている。形質転換した胸腺細胞系列では、再配置なしにDnttの可変的不活性化が起こる。これらの細胞では、ヒストン修飾の変化がプロモーター部分を中心に起こり、広がっていくことはなかった。これらの事実は、発生段階における不活性化クロマチン集合のメカニズムを探る基盤を与えてくれるものである。

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