Letter イネの耐塩性の量的形質遺伝子座にはナトリウム輸送体がコードされている 2005年10月1日 Nature Genetics 37, 10 doi: 10.1038/ng1643 ストレス耐性をはじめとして作物植物がもつ重要な農業形質の多くは、量的形質遺伝子座(QTL)が支配する複雑な形質である。こうしたQTLを単離することは、世界の農業の進歩に対して大いに光明をもたらすが、実に困難な作業である。我々は以前、イネに関してSKC1というQTLをマッピングした。塩ストレス環境にある耐塩性品種ではSKC1によってK+恒常性が維持されており、このことはK+恒常性が耐塩性に重要であるという知見に適っている。このQTLの分子基盤を理解するため、本研究では位置にもとづくクローニングにより、SKC1遺伝子を単離し、そこにHKT系輸送体の一種がコードされていることを発見した。SKC1は木質導管を取り囲む柔細胞で選択的に発現する。電位固定法を用いた分析により、SKC1タンパク質はNa+選択的な輸送体として機能することが示された。生理学的分析ではSKC1が塩ストレス条件下でK+/Na+恒常性の制御に関与していることが示唆されており、これは作物の耐塩性を向上させるためのツールとなる可能性がある。 Full text PDF 目次へ戻る