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大規模な症例対象関連研究における母集団構造、差が出やすいバイアス、およびgenomic control法

Nature Genetics 37, 11 doi: 10.1038/ng1653

疫学的症例対照研究から因果関係を推定する上での重要な問題は、未確認外部因子による交絡(confounding)、選択バイアス、および、曝露情報の分類の誤りにより差が出やすくなる傾向である。遺伝学の分野では、これらのうち最初の問題にあたる、母集団構造が近年の論争の中心となっている。英国から抽出した1型糖尿病患者816例と、同じ母集団に属する健常者877例に対して、6322の非同義SNPとの関連を調べたところ、観察された検定統計値の上昇の11.2%は母集団構造により説明できる部分があった。このほかの上昇の原因は、症例群と対照群のDNA標本の遺伝子型スコア化をおこなった際の、差を広げる傾向をもつバイアス(differential bias)によるものであった。このDNA標本は2つの異なる研究室で作製されたものであり、偽陽性の関連が得られる原因をもたらす。我々は、SNPの除外や貴重な情報の消失を避けるために、各SNPに対する重みを軽くする変数を用いることでgenomic control法を拡張した。

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