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転写活性化作用の不完全な変異体であるp53QSはストレス特異的なアポトーシス活性を示し胎生致死を引き起こす

Nature Genetics 37, 2 doi: 10.1038/ng1498

p53の機能において、転写活性化作用については大きな議論を巻き起こしている。in vivoにおける転写活性化の役割を明らかにするために、我々は、転写活性化に重要な2つの残基に変異のあるタンパク質(L25Q、W26S)をコードするTrp53ノックインコンストラクトを作製した。本論文では、これらの変異がp53の生物学的機能に選択的な影響をあたえることを示す。p53QSタンパク質は、さまざまなp53標的遺伝子に対する活性化能を大きく障害されるが、Bax遺伝子に対する活性化能は保持している。また、p53QS変異体タンパク質は、DNA損傷により誘導されるG1細胞周期停止反応誘導能も部分的に損なわれている。p53QSはアポトーシスを引き起こす能力に選択的な異常がある。つまり、DNA損傷に応答したアポトーシスをまったく誘導できず、また血清除去を受けた場合のアポトーシスを部分的に誘導できないが、低酸素状態に曝された場合のアポトーシス活性はかなり保持している。これらの所見は、p53がアポトーシスを引き起こすために、刺激特異的に異なった経路を介して機能することを示唆している。in vivoにおけるp53QSの生物学的活性の重要性は、mdm2と結合できないp53QSの発現が胎生致死を引き起こすという我々の所見によって強調される。総合すると、これらの結果により、p53は特定の状況から得られる手がかりにしたがって、異なった機構ではたらくしくみをもつことが示唆される。これは、癌を防ぐp53の機能を理解するうえで重要であろう。

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