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遺伝子発現と疾患との因果関係を推論する統合ゲノミクスによるアプローチ

Nature Genetics 37, 7 doi: 10.1038/ng1589

医学生物学研究の鍵をにぎる重要なテーマは、ヒトのありふれた疾患のような複合形質をつくりあげている遺伝子相互作用の入り組んだネットワークの解明である。本論文では、複合形質をもたらす主要な候補因子を同定するための多段階手法について詳述する。この方法は、分離マウス集団において、DNA変異と遺伝子発現のデータを、それ以外の複合形質のデータとともに統合解析するものである。発現形質相互間の相対的順位づけ、そして発現形質と他の複合形質との相対的な順序づけは、相対的転写量に変化を生じさせるDNA変異が、現在検討中の複合形質に対して、独立しているか、疾患の原因となるか、あるいは反応性のものなのかに関して統計的裏づけがあるかどうかを、系統的に検証することで成し遂げられる。我々は、この研究法により、分離マウス集団における遺伝子発現データを用いて、1回の遺伝子の摂動実験に対する転写応答が予測可能であることを示す。またこの方法の有用性を、肥満になりやすい体質に関連した3つの新規遺伝子を同定し、実験的に確認することで実証する。

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